七色虹子「妖のビデオホラーシリーズD イタズラ」
(1997年8月1日第1刷発行)

 黒崎妖(くろさき・あや)は不思議な雰囲気を持つ女子高生。
 その可愛らしい外見とは裏腹に、彼女はスプラッター・ホラーの大ファン。
 彼女お勧めのビデオを観た者の運命は…?

・「私は私」(1996年「ホラーM」5月号)
「志乃は自分自身、そして、自分の人生に意味が見いだせずにいた。
 喧嘩ばかりの両親、暴走族の弟(中学二年生)、退屈な学校、そして、つまらない自分…。
 彼女の友人の今日子はロックスターを目指して、日々頑張っていて、その姿を見ると、余計惨めになる。
 下校途中、今日子と喧嘩別れした後、志乃は神崎栄子という女性に声をかけられる。
 神崎栄子はボランティアでホームレス達に食事を配っており、志乃もその手伝いをすることとなる。
 志乃は彼らを見て、嫌悪感を抱くが、栄子は彼らは好きでホームレスになったわけではなく、一生懸命生きていると諭す。
 志乃がホームレスについて考えながら、家に向かう途中、曲がり角で妖とぶつかってしまう。
 その時、今日子から借りたビデオと妖のビデオが入れ替わり…」

・「シャッタートラップ」(1996年「ホラーM」7月号)
「清美の彼氏は小学校の時のクラスメートの村瀬誠。
 それを、苦手としている福島直子に知られてしまう。
 直子は人に嫌がることをしたり、笑い者にしたりと性格はあまりよろしくない。
 しかも、彼女は小学校時代から彼に惚れていた。
 案の定、誠がカッコよくなっていたことから、直子は清美に嫉妬心を燃やす。
 彼女は二人の仲を引き裂こうと考え、自分の得意のカメラ技術を利用。
 まず、清美の写真をHな投稿雑誌に送り付ける。
 それが功をなさないと、更衣室で清美の着替えシーンを隠し撮りする。
 だが、妖の知るところとなり…」

・「激やせマインド」(1996年「ホラーM」8月号)
「そろそろ夏休み。
 真代は今度こそダイエットを成功させようと、久美にダイエットを一緒にしようと頼む。
 久美は快く応じるが、真代は目標は立てたものの、目の前の欲望に負けてばかり。
 食べ過ぎと注意されても、これは「私のやり方」と譲らず、結局、体重は増える一方。
 散々、久美に泣き言を言うも、人の忠告には決して耳を貸さず、遂には、愛想を尽かされる。
 真代は、食欲を抑えるために、煙草に手を出して…」

・「小さな夏」(1996年「ホラーM」9月号)
「妖、美津子は今年の夏も、海の家の手伝いを条件に、久美の伯父の家に泊まる。
 二人は隆之のいとこの亜季(中学二年生)を紹介されるが、彼女は暗い少女であった。
 隆之によると、去年の夏、妹の亜子が海で溺死して、以来、ふさぎ込むようになったという。
 そして、昼間には海岸からぽつんと海を眺める姿が見られた。
 彼に頼まれ、妖たちは亜季を励ますため、外に連れ出す。
 その様子をハンドカメラで撮影していたが、亜季の背後に影のようなものが映っていた。
 それを観た亜季は、それを妹の幽霊だと思い、罪悪感に苛まされる。
 妖はテープを手に取り、それが妹からのメッセージだと知るのだが…」

・「悪戯」(1996年「ホラーM」10月号)
「中原加奈は夏の間の無理が祟ったのか、ここのところ、お腹の調子が悪く、不正出血をする。
 母親に言われ、産婦人科に行くが、それを同学年のコギャル二人組に目撃される。
 彼女達はこれをネタに、友人が夏休みの間に妊娠したと偽り、あちこちで中絶費をカンパしてもらう。
 遂には、加奈の実名を出し、彼女が産婦人科に行ったことを暴露する。
 加奈は自分は体調不良によるものと説明し、仮に妊娠しても中絶などしないとクラスメート達に断言。
 コギャル達は加奈のことを信じていたと言い訳するが、内心では、スリルを楽しんで、ほくほく顔であった。
 学校が終わり、二人はカンパしてもらった金でビデオを借りようと、ビデオレンタルに行く。
 そこで、妖は二人の企みを知り…」

2023年3月1・3日 ページ作成・執筆

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