七色虹子「妖のビデオホラーシリーズE 友情トライアングル」
(1998年5月1日第1刷発行)

 黒崎妖(くろさき・あや)は不思議な雰囲気を持つ女子高生。
 その可愛らしい外見とは裏腹に、彼女はスプラッター・ホラーの大ファン。
 彼女お勧めのビデオを観た者の運命は…?

・「友情トライアングル」(1996年「ホラーM」11月号)
「妖たちのクラスに荒川公子という少女が転入してくる。
 偶然にも、彼女はクラス委員長の小巻田鮎美と長崎の小学校で同級生であった。
 公子は、鮎美と仲良くなれば自分にとって都合が良いと考え、一番の親友になりたいと考える。
 そのためには、鮎美の友人の畑野蒼衣が邪魔であった
。  公子は転入生という身分を利用して、鮎美の横の席に移り、以来、彼女を独占するようになる。
 蒼衣は二人の間に入り込めず、徐々に孤立。
 一人で悩む彼女に妖は思い切って鮎美に相談するよう勧める。
 そして、迎える文化祭。
 妖たちのクラスはゲームキャラのコスプレをした喫茶店なのだが…」

・「フェイクブラザー」(1997年「ホラーM」1月号)
「年頃の妙子は大学生の兄が大嫌い。
 カッコ悪くて、だらしなくて、おデブで短足と救いようがない。
 兄は妹にいろいろと気を遣うが、全てが裏目に出て、妹の嫌悪感を煽る。
 ある日、妙子は風邪をひき、妖・美津子・久美の三人が見舞いに訪れる。
 妙子の兄が出迎えてくれるが、確かに冴えないものの、優しそうな青年であった。
 でも、妙子は兄を友人達に見られたことがショックで、兄をボロクソにけなす。
 そんな妙子に、妖は「スカっとする」ビデオを貸してくれるのだが…」

・「−Teenage Field− 明日への約束」(1997年「ホラーM」2月号)
「島村邦彦と早瀬智明は中学校時代からのサッカー仲間。
 だが、早瀬は実力がありながら、自信がなく、高校でサッカーをやめてしまう。
 島村はあの手この手で彼の復帰を促すが、なかなかうまくいかず、町内会の草サッカーの助っ人に引っ張り出したまでは良かったものの、後で喧嘩になってしまう。
 妖は、早瀬を本気で心配する島村の姿を見て、二人にあるビデオを見せるのだが…」

・「彼女たちのサクラ咲ク」(1997年「ホラーM」4月号)
「立木麻子は受験生。
 母親は勉強するよううるさく言い、娯楽も次々と取り上げ、彼女はストレスをためていく。
 そのため、彼女は友人の宇藤春奈が余裕を持っているように見え、嫉妬する。
 春奈は成績が良く、予備校にも行かなかったが、実は、家庭の事情で進学せず、就職を考えていた。
 それでも、麻子は彼女への劣等感は拭えず、大学へ現役合格を決意。
 猛勉強に励むが、よりストレスを高める結果となる。
 春奈は麻子を心配するが、麻子はそれを当てつけと受け取り、テストの際に、春奈にカンニングの疑いを向けさせる。
 ある日、妖が麻子の家を訪ねてくるが…」

・「ダンス・イン・ザ・ダーク」(1997年「ホラーM」8月号)
「礼子は寺井弘行と共にソシアル・ダンスでダンス・コンクールでの優勝を目指す。
 しかし、彼女の家庭は非常にギスギスしていた。
 三流商社のしょぼくれたサラリーマンの父親にヒステリックな母親…特に、礼子は父親を「ダメおやじ」と嫌悪する。
 ある日、妖たちは公園で礼子の父親と会い、彼が昔、ダンスをしていたことを知る。
 だが、それを知った礼子は恥ずかしいと父親を罵る。
 失意の父親は家を出ていき、公園で昔を懐かしみながら、ダンスを踊る。
 そこに妖が現れ、父親から事情を聞く。
 妖は礼子のもとを訪れ、「ダンス大会の情報特集」のビデオを渡すのだが…」

 最終巻はハート・ウォーミングで良い作品が多く、読みやすいです。
 初期はスプラッター描写を遮二無二捻じ込んで、ラストとのつながりがはっきりしないこともありましたが、この頃になると自然な流れになっております。
 ちなみに、「妖のビデオホラーシリーズ」はもう少し続きがあるようなのですが、単行本にはなっておりません。
 電子書籍で一通り読めるようなので、単行本未収録作品も読めるようになっているかも。

2023年3月1・3・4日 ページ作成・執筆

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