長田ノオト「ブラッド・スノー」(1997年12月1日初版第1刷発行)
収録作品
・「ブラッド・スノー」(1995年「月刊ホラーM」12月号)
「ある高校の生物教師、四方一郎。あだ名は「理科男」。
彼の裏の顔は「不老販売会社」の経営者で、若い生徒をさらっては、生物準備室で、金持ちの年寄りの脳を移植する手術を行っていた。
ある日、彼は永井吾郎という男子生徒をその餌食とする。
彼に想いを寄せる少女は、吾郎の失踪に心を痛める。
幼なじみのキヨタカは彼女をクリスマス・パーティに誘う。
パーティに向かう途中、彼女は理科男の話を耳にして、ある予感を感じ、生物準備室に向かうのだが…」
・「新実験王 夢見る胎児」(1996年「月刊ホラーM」7月号)
「満月の夜。
家出少女、広田ミミ(15歳)が廃病院の前で野宿しようとすると、病院から謎めいた青年が現れる。
青年は山王子銀一と名乗り、科学者であった。
彼はここで動物を人間に作り替える研究を行っていた。
彼はミミに自分の遺伝子を持つ子供を産んでもらい、その子を助手にしようと考える。
だが、二人の仲を嫉妬した猫女がミミの喉笛に噛みつき、殺してしまう。
銀一は急いでミミから卵子を取り出し、自分の精子と結合させる。
そして、産まれたのが…」
・「新実験王 ダイヤの子ら」(1996年「月刊ホラーM」3月号)
「鳩山カノン(11歳)は池袋で私立探偵事務所を構える江戸川乱砂(36歳)の探偵助手。
彼は、三鷹にある、友達の小野田桃子の家でテレビを観る。
テレビでは「第一回国際科学賞授賞式」が実況中継され、桃子の父、昭彦が『ダイヤ化光線銃』の発明が受賞式に出席していた。
だが、彼は、この発明が悪用されることを懸念し、賞を辞退し、設計図を世に公表することを拒む。
その時、小野田家を、実験王の開発した『ハサミ手男(シザーハンズ)』が襲い、桃子をさらう。
実験王は、桃子の命と引き換えに、父親に『ダイヤ化光線銃』の設計図を渡すよう要求。
カノンは発信機を『ハサミ手男』の胴体につけ、江戸川乱砂にトランシーバーで連絡し、島へ向かう。
実験王の真の目的とは…?」
・「新実験王 ゴルゴタ 処刑の地」(1996年「月刊ホラーM」5月号)
「小野田昭彦博士が国立科学研究所に出勤すると、原子炉制御装置の異常を知らされる。
急いで車に乗り込むが、車は原子力発電所とは違う方向へ向かう。
車は山の斜面の隠し扉の中に入り、運転手の青年に銃を突き付けられ、博士は車を降りる。
そこに現れたのは、山王子銀一こと実験王。
そして、車を運転していた青年は彼の息子、月彦であった。
実験王は博士に『ダイヤ化光線銃』の設計図を渡すよう求めるが、設計図は既に灰と化していた。
そこで、実験王は博士の口から聞き出すべく、博士を拷問にかける…」
・「新実験王 畸形の島」(9月号初出タイトル「選ばれた者」/1996年「月刊ホラーM」9・11月号)
「実験王による美少年美少女の連続誘拐事件。
彼らはダイヤ島へ連れていかれ、ある者は動物人間に改造され、またある者はダイヤの像にされてしまう。
実験王が次に狙うは、鳩山カノンと小野田桃子。
月彦は、小野田博士の使いを偽り、カノンと桃子を車に乗せ、攫おうとするも失敗。
だが、帰宅した桃子は実験王に拉致され、ダイヤ島へと連れ去られる。
桃子はダイヤ化され、実験王の寝室に飾られそうになるが、彼女に嫉妬した月彦は…」
・「愛しき金魚たち」(1996年「月刊すっぴん9月号増刊M・FILE」vol.2)
「昭和三十二年。東京N区。
日野敬介は大の猫好きとして近所で知られていた。
彼は何匹もの野良猫を自宅に連れ込んでいたが、飽きると、バラバラにして、鍋にして食べてしまう。
また、彼は「少年好き」でもあった。
昔、先輩に犯された時の快感が忘れられず、少年を犯してみたいという願望が肥大化していく。
彼は目当ての少年を見つけようと、銭湯に通い、三月のある日、彼は遂に「天使」と巡り合う。
少年の名は森雅也という12歳の少年で、日野は背中を流すふりをして、男根をその尻に押し付ける。
四月二日、銭湯の出入り口で、日野は森少年を待ち伏せし、家に漫画があると言って、彼を自宅まで連れていく。
そこで、森少年を犯そうとするのだが…」
「新実験王」は探偵漫画「実験王」の続編です。
ただし、「新実験王 夢見る胎児」は山王寺月彦の誕生を描き、「実験王」の前日譚です。
「ブラッド・スノー」は耽美的な猟奇もので、楳図かずお先生「洗礼」が入ってます。(にしても、長田先生、マッド・サイエンティストが好きだなあ…。)
「愛しき金魚たち」は実際の犯罪をもとにした作品とのことで、倒錯的な内容が長田ノオト先生の陶酔的な絵にマッチ!!
もとになった事件のことが非常に気になります。
2023年3月18日/4月13日 ページ作成・執筆