神田森莉「カニおんな」(1998年3月10日第1刷発行)

 収録作品

・「カニおんな」(「恐怖の快楽」1997年9月号
「カニを溺愛する甲田裕子は資産家のお嬢様。
 彼女には青山という婚約者がいたが、彼は牧ひづるというソープ嬢に心を奪われる。
 彼に捨てられ、憎悪の塊となった女社長は、ひづるを誘拐し、カニのフルコース責めにする。
 二週間後、青山は裕子の邸に呼ばれるのだが…」

・「ウンゲロミミズの女」(「恐怖の快楽」1996年10月号)
「フェノミナ大学。
 小山田カヒイはドジでマヌケだが、何をされても気にせず、笑顔を絶やさない脳天気娘。
 映美はカヒイをいじめていたが、もっと彼女をいびり倒す方法がないか考える。
 ある日、映美はカヒイにアイドルになるよう勧め、監督に会いに行かせる。
 その監督は「スタジオ・エロス」のポンプ松下で、アイドルはアイドルでもAVアイドルであった。
 ポンプ松下は女性虐待が趣味で、多くのAV女優の精神を破壊させてきた鬼畜野郎。
 だが、カヒイは北海道での過酷なロケも、恥ずかしい街頭露出も、フランス料理店でのゲロゲロ料理も平気の平左で乗り切ってしまい…」

・「冷やかな笑み」(「恐怖の快楽」1995年第6号)
「清水とも子は、大沢物産で働くOL。
 その会社は実に家庭的で、セクハラや男女差別はなく、友人や上司も皆、いい人ばかりであった。
 しかし、シャブ中の母親が、彼女名義で七千万円も借金したのが明らかになったことから彼女の人生は一変する。
 OLの給料では借金は返せず、とも子は会社を退職し、ホステスになる。
 だが、母親が覚醒剤による幻覚で片目を抉り出し、その治療費でまた借金を重ね、遂には風俗嬢に身を落とす。
 地獄のような日々の中、彼女は昔の仲間に会いに、元の会社を訪ねるのだが…」

・「ひまわりの首」(「恐怖の快楽」1997年5月号)
「美智子は昔は残忍な不良娘であったが、今は普通の専業主婦に落ち着いていた。
 夫の忠夫は素敵な旦那様で、貴子と源一郎の二人の子供に恵まれ、平穏かつ幸せな日々を送る。
 ある日、家の前の道路にひまわりの花が落ちていた。
 その夜、隣に元川恵美という女性が越してきて、挨拶に来る。
 以来、夫の様子がおかしくなり、源一郎も去勢され、精神がおかしくなった状態で発見される。
 病院でまたひまわりの花を目にして、美智子は昔の不良仲間に連絡を取るのだが…。
 ひまわりが示唆する、彼女の過去とは…?」

・「死ぬ時はいつも一人」(「恐怖の快楽」1996年9月号)
「東京で連続レイプ事件が発生。
 犯人は怪力の大男で、犯人はレイプと合わせて、必ずチカンを一人殺害していた。
 テレビキャスターの美島千聖は連続レイプ&チカン殺人事件を追ううちに、俵沢吐夢という青年と知り合いになる。
 俵沢吐夢は婦人問題評論家の俵沢もえ子の息子で、今時には珍しく、非常に純情であった。
 男の厭らしさばかり見せつけられている千聖は彼に親しみを感じ、彼も彼女に想いを寄せるようになる。
 しかし、彼は母親から性欲を持つことは悪いことと教えられ、罰を受け続けてきた。
 ある日、彼は彼女をデートに誘い、ホテルでベッドインするのだが…」

・「ゴキブリ亭主」(「恐怖の快楽」1997年10月号)
「加藤家は平凡な一家…のように見えて、夫は一流商社の企業戦士で家庭を顧みず、一人娘の江美は全く両親に関心を抱かない宇宙人、更に、町内会長の竹宮のおばはんは口やかましいはで、妻はストレスたまりまくり。
 そんなある日、夫が脳卒中で倒れる。
 身体に障害は残らなかったものの、人格の低下を起こし、歯を磨かないだけでなく、残飯をあさり、生ごみにまみれて、妻を犯す。
 耐えきれなくなった妻は一家心中を考えるが…」

・「とあるハムスターの優雅な東京独身生活日記 1997〜1998」
 ジョン・カサベテスとロバート・アルトマンの映画を観ていて、渋〜。

・唐沢俊一・解説「神田森莉という異物」

 神田森莉先生が、究極のレディース・コミック雑誌「恐怖の快楽」に描いた短編を六つ、収録した単行本です。
 一般の方には決してお勧めできません。
 凄まじく下品な内容で、エロも残酷描写も生理的不快感をもよおさずにはいられないレベルです。
 それでも、作者の「超強烈な個性」(by 唐沢俊一氏)故に、気色悪い悪いと思いつつ、実に楽しく読めてしまいます。
 レディース・コミック雑誌には埋もれた神田ホラーがたくさんありますので、この単行本だけで終わったのが、返す返すも残念です…。

・備考
 サインとイラストが前の見開きにあるけど、本物かどうか不明…。

2022年11月29日 ページ作成・執筆

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