御茶漬海苔「暗黒辞典A」(1996年7月1日初版第1刷発行)

 「暗黒辞典」…それは「人間の恐怖を集めた辞典」。
 これを読む者は皆、恐怖の世界に誘い込まれる…。

・「第7章」(1994年「ホラーM」11月号)
「パンプキンヘッド@」
 白子は、ハロウィンの夜に出るというパンプキンヘッドを信じ込んでいた。
 しかし、青美と緑子は白子の言うことを完全にバカにする。
 その夜、青美の部屋に、カボチャの仮面をかぶった白子が現れ、青美を包丁で惨殺。
 また、緑子の部屋にも白子は現れるのだが…。
「パンプキンヘッドA」
 事件から十年後のハロウィン。
 中山秋子という少女が姉に、パンプキンヘッドが実在すると訴える。
 だが、姉は全く信用しない。
 秋子は、パンプキンヘッドをバカにすると、殺されると言うのだが…。

・「第8章」(1994年「ホラーM」12月号)
「ドライブ」
 豪雨の夜道。
 利奈と父親の乗った車は、通行中の少女を轢いてしまう。
 父親は、救急車を呼ばずにその場から逃げ、利奈に全て忘れるよう言う。
 しかし、帰宅後、二人は少女のことが気になり、罪悪感に苛まされる。
 そこに少女の霊が現れ…。
「時世@」
 君代がボーイフレンドの達矢と電話している間、妹の初恵が交通事故死する。
 君代は、妹をちゃんと見ていれば…と後悔し続ける。
 ある夜、彼女の部屋に、時世という女神(?)が現れる。
 彼女は「あやまちを起こした時間にもどして」くれるのだが…。

・「第9章」(1995年「ホラーM」1月号)
「幽霊屋敷」
 キチガイ博士の幽霊が出ると噂される屋敷。
 ある夜、鈴香と亜美がその屋敷を探検してみる。
 研究室の奥の部屋から足音らしき物音がするので、鈴香は割れたガラスを覗く。
 そこには、蛆だらけで、全身に包帯を巻いた博士の幽霊がいた。
 ポロライドカメラで写したことで気付かれ、幽霊は二人に襲いかかってくる。
 亜美は恐怖で動けず、博士の針にようになった右腕で、左の脇腹を刺される。
 鈴香に引かれ、二人は屋敷を逃げ出し、亜美の家に行く。
 亜美の傷はどんどん広がり、蛆が次々と湧いて出る。
 鈴香は亜美を一度は見捨てようとするが、思い直し、彼女の部屋に戻るのだが…。
「時世A」
 中学生の夕子はルーズな性格であった。
 友人の麻子と、橋の下で午後六時に待ち合わせをするも、ついつい道草をして、大幅に遅刻してしまう。
 慌てて、待ち合わせ場所に行くと、麻子は通り魔に惨殺されていた。
 後悔の念に苦しむ夕子の前に、時世が現れる。
 夕子は、過去に戻り、今度は時間に間に合わせるのだが…。

・「第10章」(1995年「ホラーM」2月号)
「蟲男爵@」
 六十年も昔。
 恐れ山の洋館には幽霊が出ると言われていた。
 ある日、桜子は一人で洋館に出かけ、姉は慌てて追いかける。
 結局、二人は洋館に入ることになるが、入ったドアの先はどこもかしこも蛆虫で覆われていた。
 戻ろうにもドアが開かず、二人が階段を上がると、揺りかごが幾つも置かれた部屋に出る。
 揺りかごの中には、人間の子供のような幼虫がいて、桜子は発作的に殺してしまう。
 そこに、虫をこよなく愛する「蟲男爵」が現れる。
 蟲男爵は桜子を殺そうとするが、姉が身代わりとなり、桜子は館から脱出する。
 その夜、殺されたはずの姉が家に戻ってくるのだが…。

・「第11章」(1995年「ホラーM」3月号)
「催眠術」
 沼で見つかった首なし死体。
 身元は、夢見ヶ丘高等学校の花岡幸子という女子生徒であった。
 奈美と瑞紀は、幸子の親友であったが、全く彼女のことを覚えていない。
 催眠術師を父に持つ黒木礼は、二人に催眠術をかけ、幸子の記憶を取り戻させる。
 すると、二人は、沼で男性に襲われ、花子と、もう一人、優子という少女が首を切断されたことを思い出す。
 その後、男性の目を見たら、気を失ってしまったのであった。
 彼女達の証言により、優子の死体も発見される。
 目撃者の奈美と瑞紀は男の顔を見たようなのだが…。
 次々と不可解な事件が起きる中、黒木礼は、母親からの手紙で、ことの真相を知る…。

・「第12章」(1995年「ホラーM」4月号)
「蟲男爵A 第2話 ゴキブリ少女」
 美礼玲子は大のゴキブリ嫌い。
 家中のゴキブリを殲滅しようとしたところ、瀕死の一匹が蟲男爵のもとへ飛んでいく。
 話を聞き、激怒した男爵は玲子をさらって、自分の館に連れてくる。
 「ゴキブリを愛するようになったら帰してやろう」と言う蟲男爵に対し、玲子は「ゴキブリを愛するぐらいなら死んだほうがまし」と断固拒否。
 死刑にされようという時、ゴキブリが「人と共存」できるかどうか試してみたいと話す。
 蟲男爵は、彼女がゴキブリを愛せるかどうか、試すのだが…。

 ブツブツ卵に、グジュグジュ蛆虫が印象的な名作「蟲男爵」シリーズが始まっております。
 虫とのフレンドリーな会話等、ズレまくりな蟲男爵が、おぞましいながら、妙にユーモラスに感じます。

2021年7月23日 ページ作成・執筆

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