小山田いく「稲川淳二の最新・怖い話」(稲川淳二・原作/2007年8月1日初版第1刷発行)

・「そして 俺は死んだ」(2004年「あなたが体験した怖い話」8月号)
「北陸のとある海岸。
 専門学校の生徒達が海岸近くの宿で「海の家の会」を開く。
 ある夜、六人の若者(男三人、女三人)が海岸で花火をした後、車座になって、怖い話をする。
 すると、一人の男がいつも間にか現れて、自分の体験を話すのだが…」

・「紫のワンピース」(2005年「あなたが体験した怖い話」2月号)
「同棲している若いカップル。
 男の方が彼女にプロポーズをしようとした矢先、彼女は癌で倒れる。
 癌は全身に転移しており、結婚する前に、女性は死亡。
 彼は、女性の思い出の詰まった部屋には帰りたくはなかったが、遺品整理のため、アパートに戻る。
 そこで、彼は彼女が今もいるような感じにとらえられるのだが…」

・「のぞいてください」(2005年「あなたが体験した怖い話」10月号)
「休日、会社員の男性二人が日光に車でキャンプに出掛ける。
 キャンプ場はどこもいっぱいで、彼らは山に入ったところに無人の空き地を見つけ、そこでキャンプをする。
 夜、二人が車内で休んでいると、窓を叩く音で一人が目を覚ます。
 窓の外には血まみれの男がいた。
 男は車が谷底に落ちたので、助けを求めに来たという。
 男性の一人が彼について行くと…」

・「黄色いトンネル」(2006年「あなたが体験した怖い話」2月号) 「外も真っ黄色に塗られたトンネル。
 バスの運転手をしていた男性がここで体験した怪異とは…?
 そして、このトンネルで起きた、悲惨な出来事とは…?」

・「水路の怨霊」(2005年「あなたが体験した怖い話」8月号)
「湖や沼を結ぶ水路がたくさんある地方。
 台風の夜、一人の男性が、舟を見に水路に行き、行方不明となる。
 おかしなことに、男性をさそった人物がいたのだが、それが誰だか全くわからない。
 数日後、雨がやんだので、男性が二人、夜釣りに出かけるのだが…」

・「深夜のマンションで遊ぶ子供」(2005年「あなたが体験した怖い話」4月号)
「深夜、稲川さんは友人と共に、先輩のマンションを訪ねる。
 一階でエレベーターを待っていると、どこからか子供達の遊ぶ声が聞こえる。
 どうもエレベーターの中にいるらしい。
 だが、到着したエレベーターの中には誰もいなかった。
 おかしいとは思いつつも、稲川さんはこのことを忘れてしまう。
 しばらく経ってから、先輩から電話があるのだが…」

・「2本の女の足だけが動いて」(2006年「あなたが体験した怖い話」9月号)
「夏休み、高校一年の青年が二人、山陰にサイクリングに出かける。
 三日目、幹線道路を外れ、二人は山道に入るが、急な大雨に襲われる。
 立入禁止の看板を見つけ、その通路に入ると、廃墟と化した建物があった。
 雨足は強まるばかりで、二人は建物の中で一晩を過ごすこととなる。
 夜中、一人がトイレに立つが、なかなか戻ってこない。
 訝っていると、足音が聞こえてきて…」

・「ポスターの話」(2004年「あなたが体験した怖い話」10月号)
「東京の西大久保のアパート。
 友人が引っ越したというので、ある男性がそのアパートを訪ねる。
 妙に人気のないアパートで、友人の部屋は一階の廊下の突き当りにある。
 友人の部屋は暗く、それは窓に貼られたポスターが原因であった。
 友人は、たまに窓の外から覗く奴がいるからと説明するのだが…」

・「幽霊の親子」(2004年「あなたが体験した怖い話」6月号)
「稲川さんがテレビ界に入った頃、深夜の温泉番組のリポーターを担当する。
 ある山奥の温泉旅館に取材に行き、収録後、部屋でドラマの台本を読んでいると、スタッフの一人が部屋にやって来る。
 地下の部屋にアベックが入っていったので、皆で覗きに行こうというお誘いであった。
 しかし、わざわざ行ったにもかかわらず、女将によると、今はシーズン・オフで、彼らしか客はいないという。
 スタッフは納得がいかず、夜、稲川さん達数人はその部屋を見に行くのだが…」

 怪談の最高の語り部の一人、稲川淳二さんのお話は、様々な漫画家さんによって数多く漫画化されております。
 その中でも、故・小山田いく先生とはかなり相性が良かったのではないでしょうか。
 と言うのも、小山田いく先生も優れたストーリー・テラーで、話のツボを押さえるのが上手かったから。
 もちろん、ストーリー作りだけでなく、雰囲気作りも上手で、グロ描写だって、他の怪奇漫画家さんと十分ためを張るレベルです。
 でも、やはりお人柄でしょうか、「紫のワンピース」のような心温まる作品の方が本領を発揮しているように思います。

2023年1月19・24日 ページ作成・執筆

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