藤田素子「死の迷路」(1995年9月1日初版発行)

 収録作品

・「悪魔のピアス」(1995年「サスペリア」4月号)
「美幸は他人の顔色を窺ってばかりの女の子。
 ある日、ピアスをした娘が停学になったことに抗議して、女子全員で、ピアスを開けることになる。
 だが、美雪は耳に穴をあけることを躊躇い、耳にビーズの飾りをピアス風に付けて、ごまかそうと考える。
 そのビーズの飾りは、小学生の頃、親友の川上やよいにおそろいとして貰ったものであった。
 しかし、彼女は、やよいと一緒にいると、いじめられると忠告され、以来、ずっと距離を置く。
 先日、やよいは肺炎で亡くなり、その連絡があった際、美幸はビーズの飾りを思い出したのであった。
 美幸はそれを付けて、学校へ行くものの、やよいの呪いか、ビーズの飾りを付けていた部分が爛れ、やよいの顔のように見える。
 更に、このトラブルにより、学校はピアスに対して厳しくなり、以前の友人達からはいじめを受けるようになる。
 孤立無援な彼女に、憧れの長沢が声をかけ、二人は川上やよいの葬式に行くのだが…」

・「呪いのマリア」(1994年「サスペリア」7月号)
「非常に厳しい校風の聖マリア高等学校。
 ダサい制服に抗議していた朝子が跳び下り自殺をしたことがきっかけとなり、制服が可愛いものに変更をされる。
 だが、朝子の友人だった恵奈は、自分のせいで朝子が自殺したことを知っていた。
 ファストフード店で、恵奈がスカートの丈を短くした際、見回りのシスターに見つかり、咄嗟に朝子のせいにしたのである。
 激昂したシスターは公衆の面前で、朝子の服をひん剥き、それが彼女の自殺につながったのであった。
 以来、朝子が激突して死んだマリア像で、彼女の幽霊が出るという噂が流れる。
 恵奈も彼女の幽霊に出会うが、朝子の幽霊は「ゆるさない」と恵奈に呪いの言葉を呟く。
 朝子の呪いの向かう先は…」

・「悪魔先生」(1994年「サスペリア」9月号)
「奈里子は、カンニングをネタに、吉峰先生に付きまとわれる。
 吉峰先生の行動はどんどんエスカレートし、憧れの井原に告白されたことをきっかけに、彼女は吉峰先生を呪い殺そうと考える。
 だが、呪いの術の最中、針が自分の左目に刺さり、奈里子は病院に運ばれる。
 角膜を移植され、彼女は失明を免れるが、その角膜はプールで溺死した吉峰先生のものであった。
 彼女は復学するものの、目の傷は悪化するばかりで…」

・「見えないメガネ」(1994年「サスペリア」4月号)
「舞子が、立ち入り禁止の非常階段から転落死する。
 状況から自殺を思われたが、親友の美咲だけは彼女の死の理由を知っていた。
 舞子は、眼鏡をかけるとブスになると考え、憧れの生徒会長の前では決して眼鏡をかけなかった。
 生徒会の前、美咲は落としたコンタクトレンズを捜すよう舞子に頼まれるが、舞子の「眼鏡ブス」の発言にカチンと来て、コンタクトレンズを見つけたのに、わざと知らないふりをする。
 その後、恐らく、裸眼のまま、生徒会に行き、舞子はあやまって転落したのであった。
 舞子の形見として、美咲は彼女の兄から、舞子の眼鏡をもらう。
 その眼鏡は不思議な眼鏡で、かけると、眼鏡のフレームが消えて、素顔のまま。
 美咲はその眼鏡をかけて、憧れの舞子の兄に会いに行くのだが…」

・「いじめの番号」(1994年「サスペリア」6月号)
「岸元里穂は、ポケベルがないせいでいじめられていると親に嘘をつき、ポケベルを買ってもらう。
 親友の真夜子にかけてもらうが、彼女から「42731(シニナサイ)」というメッセージが送られてくる。
 以来、里穂は、友人達から一転していじめを受けるようになる。
 ある時、彼女は真夜子達からトイレに呼び出されるが、そこは、いじめっ子達がガス中毒死した場所であった…」

・「死の迷路」(1995年「ホラーM増刊号 学校の恐怖スペシャル」)
「三島美名子(中学三年生)は努力にもかかわらず、成績は下がり続け、このままでは志望校は危うい。
 一方、彼女の友人、えみはいつも美名子に勉強を教えてもらっていたが、いつの間にか、順位は彼女を追い抜かしていた。
 美名子はえみを憎悪し、ひどい言葉を投げつける。
 それだけでなく、テストの最中、えみにカンニングの冤罪を着せようと想像を膨らませる。
 その時、突然、猛烈な尿意に襲われる。
 テストが終わった後、トイレに向かうが、いつの間にか渡り廊下に来ていた。
 そこは、ガリ勉の女子生徒が過去に亡くなった場所であった。
 授業中、トイレをギリギリ我慢していた彼女は、授業後、トイレに行く途中に転んで、膀胱が破裂したのである。
 美名子は引き返すのだが、どうしても同じ場所に戻ってしまい…」

 藤田素子先生の怪奇マンガは、非常に形容しづらいのですが、独特の発想を感じさせる内容です。
 個人的には、「悪魔先生」が最も面白かったです。
 バッド・テイスト、かつ、魔訶不思議な展開ながら、伏線がきっちりしていて、感心いたしました。

 あと、おまけとして、インコを題材とした四コマ漫画が六つ、収録されております。

2021年2月28日・3月1日 ページ作成・執筆

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