曽祢まさこ「モンスターガール 怪物少女」(2001年6月1日初版第1刷発行)

 収録作品

・「モンスターガール 怪物少女」(「'00月刊ホラーM9月号」初出)
「愛澤マイは中学二年生の普通の女の子。
 たった一つだけ彼女は人と違うところがあった。
 彼女は定期的に「人間の存在そのもの」を食べずにいられない身体であったのだ。
 赤ん坊の頃からそうだったので、すっかり慣れっこになっていたのだが、マイの前に「グールハンター」と名乗る青年が現れる…」

・「モンスターガール 怪物少女 PART2」(「'01月刊ホラーM4月号」初出)
「マイは、ボーイフレンドの村田順一の勧めで、「ふしぎ研究会」に入る。
 研究会の面々とわいわいやっていると、そこへ不良達が因縁をつけてくる。
 その場を救ってくれたのは、最近転校してきた武藤昇であった。
 ハンサムで秀才、しかも、大病院の跡取り息子として、人気のある武藤昇だが、彼はマイにアプローチをかけるようになる。
 果たして彼の魂胆は…?」

・「幻想植物園」(「'99月刊ホラーM2月号」初出)
「第一話 王様と殺し屋」
「第二話 旅立ちの時」
「第三話 注文の少ないレストラン」
 植物を擬人化して、ファンタジックに描いたものです。

・「冬姉妹」(「'96月刊LCミステリー2月号」(スコラ)初出)
「桃子とかえでの姉妹。
 妹のかえでは、姉の桃子を激しく憎んできた。
 がさつなかえでと違い、優秀で美人な姉の桃子は、徹底的に妹を見下して、バカにしてきたのだった。
 姉がこの世に存在する限り、自分は幸せになれないと悲観するかえで。
 そんなかえでの周辺で、かなづち男が美人な少女を襲う事件が頻発する。
 かえでは桃子がかなづち男に襲われるよう祈るのだが…」
 完成度の高い作品であります。
 また、姉妹の性格の違いを巧みかつ繊細に描写しておりまして、ここが最大のポイントでありましょう。
 ちなみに、この作品を読んで、思い出したのが、フレドリック・ブラウン「危険な連中」(注1)。
 フレドリック・ブラウンは、半世紀前には、故・星新一を初め、多大な影響を与えた作家でありましたが、現在は忘れられつつあるのでしょうか?
 もしそうだとしたら、非常に残念なことです。
 私が高校生の頃、「SFカーニバル」「天使と宇宙船」「宇宙を僕の手の上に」等々、夢中になって読んだものでした。
(いつか読み返したいと思いつつも、本棚で色の褪せた背表紙を飾るだけになっております。)
 フレドリック・ブラウンを知らない人がもし興味を持たれたのなら、「危険な連中」を読んでみては如何でしょうか?

 私事なのですが、「モンスターガール 怪物少女」が何故かは知らねど、好きなんです。
「ゆる〜い」ホラー・コメディーなのですが、この「ゆるさ」にしみじみと感じ入ってしまいます。
 マイの恋人の村田順一が、「エスパー魔美」に出てくる「高橋君」を連想させるのも、味わい深いです。(「高橋君」に較べて、遥かに頭はキレませんが…)
 たった二話で終わってしまったのが、つくづくも残念であります。
 ちなみに、このマンガ、曽祢まさこ先生の作品の中で、「ハートマーク」と「おむすび」が最も多く描かれたマンガではないでしょうか?

・注1
 江戸川乱歩・編「世界短編傑作集5」(創元推理文庫/1961年5月12日初版・1973年2月23日33版)

平成27年6月15・16日 ページ作成・執筆

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