曽祢まさこ「新・呪いの招待状@ 恋の墓標」(2007年5月1日初版第一刷発行)
カイは呪殺専門の呪術師。
彼は依頼者の寿命十年と引き換えに、憎い相手を呪殺してくれる。
さて、今回の依頼は…?
・「恋の墓標」(2006年「月間ホラーM」7月号)
「西王路聖良(にしおうじ・せいら)はクールで、頭の切れる女子高生。
委員長を務め、成績もトップだが、他人を平然と見下して、評判はよろしくない。
ある日、ハヤトという男子高生が校門で彼女に声をかける。
彼は彼女の生徒手帳を拾い、届けに来たのであった。
以来、彼は彼女に付きまとい、彼女も彼に押される感じで付き合うようになる。
だが、これは、聖良に反感を持つ斉藤レミによる企みであった。
レミは恋人のハヤトを聖良に近づけて、笑いものにしようとしていたのである。
聖良がハヤトのマンションの部屋に行った時、レミは自分の企みをばらすのだが…」
・「ヘルサマー」(2006年「月間ホラーM」6月号)
「八月初旬。
カイとマリー(百年前の少女の魂が宿った西洋人形/カイのパートナー?)は、占い師サラの別荘に滞在する。
マリーが森の中を散歩中、マミという女の子と出会う。
二人は一緒に遊ぶが、マミが両親の待っていた車に戻った時、彼女は車のドアを通り抜ける。
マミは幽霊で、車の中には、マミと両親の死体があった。
その後の捜査でマミの一家は心中したと明らかになるが、マリーはマミの言っていた「お兄ちゃん」が引っかかる。
東京に戻り、迎えた八月十三日。
カイのもとに来客があるのだが…」
・「友情玉手箱」(2006年「月間ホラーM」11月号)
「中学生のちあきとミホは大の親友同士で、何をするにも、どこに行くにもいつも一緒。
二人は三年の結城先輩に片想いをしていたが、結城先輩にえりかという恋人ができる。
えりかは浮気性な娘で、ちあきとミホはカイに彼女を呪殺させる。
それからも、二人はカイのもとを何度も訪れて、二人にとって邪魔な人間を始末する。
だが、ある日、大人になった彼女達が別々にカイのもとを訪れて…」
・「天使の墓場」(2007年「月間ホラーM」1月号)
「望月しのぶは委員長タイプの優等生。
彼女は辻井という男子生徒を目の敵にして、折あるごとに、彼にきつく当たる。
だが、本当は、しのぶは彼のことが好きで好きでたまらなかった。
彼と同じ高校へ行き、和解は失敗したものの、遠くから彼の姿を眺めるだけで満足する。
一方の彼は、小学校三年生の時、彼女のせいでいじめられて以来、彼女のことを徹底的に避けていた。
彼にはガールフレンドがいたが、何者かが二人に嫌がらせをするようになり、遂には、ガールフレンドの家が放火される。
しのぶは独自に調査して、犯人が、中学の女教師、タチバナであることを突き止める。
タチバナは可愛い少年好きの三十過ぎの女性で、辻井に目を付けているらしい。
しのぶはカイのもとを訪れ、タチバナの呪殺を依頼する。
仕事の後、カイは「望みのない恋はあきらめろ」と忠告するのだが…」
・「ピンクの牙」(2007年「月間ホラーM」3月号)
「すずか(11歳)は、両親の離婚のため、妹のあすか(6歳)と別れる。
すずかは父親、あすかは母親に引き取られるが、六年後、母親からあすかが事故死した連絡がある。
葬式の後、すずかは形見として、ピンクの子豚のぬいぐるみをもらう。
これは両親が離婚する前、すずかが福引で当てたものを、あすかにあげたのであった。
あすかはこれに「ももちゃ」と名付け、姉からもらった一番の宝物だとずっと大切にしてきたという。
すずかは供養をかねて、ぬいぐるみを部屋に飾るが、その夜から、あすかの夢を見るようになる。
夢では、あすかが母親から虐待され、クラスメート達からいじめにあっていた。
しかも、あすかの事故死はいじめっ子が原因で、傷害致死であった。
あすかがどれだけ悲惨な境遇にいたかを知り、すずかは今まで自分が無関心だったことに良心の呵責を覚える。
すずかはあすかの死の真相を探るが、皆の関心は薄く、難航。
また、はっきりした証拠もないので、カイのことを紹介されても、行くことに躊躇してしまう。
そんな時、あすかの死に関わりのあるいじめっ子が子豚のぬいぐるみに腕を食いちぎられる事件が起きる。
すずかは、これ以上の復讐をしないように、子豚のぬいぐるみを供養しようとするのだが…」
2022年4月22日 ページ作成・執筆