山本まゆり「リセットシリーズA 人生ゲーム」(1999年5月1日初版第1刷発行)
あなたが人生を後悔した時に現れる堕天使アンリ。
彼は「人生のセーブ係」で、人生を「リセット」できるチャンスを与えてくれる。
あなたが選ぶのは「天使の道」?それとも、「悪魔の道」?
・「最後の約束」(1999年「ホラーM」4月号)
「瀬川(名前は不明)は、ずっと片想いをしていた中沢秀行に告白して、OKをもらう。
早速、一緒に帰り、バス停で彼と別れるが、彼の乗ったバスが事故を起こし、彼は亡くなる。
悲嘆に暮れる彼女の前に、堕天使アンリが現れ、バス停の時点までリセットするかどうか問う。
バス停の時点にまで戻り、彼女は彼が乗るバスを一本遅らせる。
彼は事故にはあわず、また、代わりに死んだ人もおらず、とりあえず一安心。
その後、瀬川は秀行のバイクに乗って、海に行き、楽しいひと時を過ごす。
だが、帰り道、秀行のバイクはとび出した女の子をはねてしまい…」
・「友情の裏側」(1999年「ホラーM」5月号)
「桜木麻衣子は引っ込み思案で、要領が悪く、小学生の時はずっといじめられていた。
高校になった今は、いじめっ子タイプの吉井由貴恵、川道静香とつるみ、いじめられるのを避ける。
彼女達の標的は水沢という女子生徒で、麻衣子は良心の咎めを感じながらも、吉井達に逆らうことができない。
ある日、ゲームセンターで遊んでいた彼女達は道を歩く水沢を見つけ、彼女の家に押しかける。
人の家なのに、勝手に飲み食いした挙句、片付けもせずに退散した直後、水沢の母親が帰ってきて、大問題になる。
翌日、吉井達は水沢がチクったと、学校の女子トイレで、彼女の顔を便器に押し付け、水を流す。
その後、水沢は自殺し、遺書には吉井、川道、桜木の三人が名指しにされていた。
麻衣子が罪の意識に苦しんでいると、堕天使アンリが現れ、リセットするチャンスを与えると言う。
麻衣子は女子トイレの時点にまで戻り、吉井達のいじめをやめさせる。
更に、麻衣子は水沢に謝り、二人は親友となる。
しかし、水沢が父親の転勤でアメリカに渡ることになり…」
・「人生ゲーム」(1999年「ホラーM」9月号)
「原口は五年前にかおるの母親が再婚した相手。
その時、吉岡という候補がもう一人いたのだが、かおるのカッコいいからという言葉が決定打になる。
そして今、父親はリストラされて無職となり、一家は大変であった。
ある日、隣の豪邸に家族が引っ越してくる。
その家族は、かおるの母親が五年前にふった吉岡の一家で、彼は、かおるのご近所だった旧姓・片桐の母子と再婚して後、事業で成功していた。
かおるは娘の千代美と再会したものの、彼女はすっかりお嬢様が板についていて、光輝くような気品に圧倒される。
それは両親も同じらしく、父親はすっかり卑屈になり、家庭内はギクシャクする。
そんな時、かおると母親の前に堕天使アンリが現れる。
かおると母親は五年前に戻り、今度は吉岡と結婚し、大金持ちとなる。
だが、所詮はにわか成金で…」
・「共犯者」(2000年「ホラーM」3月号)
「笙森女子学園。
吉川翠と由香は美術の玉井先生に夢中。
ある日、翠は由香が玉井先生と腕を組んで、町中を歩いているところを目にする。
彼女に話を聞くと、いろいろと詳しいことは秘密だが、彼と付き合っているという。
彼女の話を聞き、翠はあることに思い当たる。
数日前の放課後、由香は美術室に数学のプリントを忘れたと取りに戻ったが、そ
の時に何かあったに違いない。
そこに堕天使アンリが現れ、彼女が望むなら、あの日の放課後に戻すと話す。
リセットした翠は、由香に数学のプリントはファックスすると約束し、自分は用事があると嘘をついて、美術室に向かう。
そこで彼女が目にしたものは…?
彼女は玉井先生と付き合うことができるのであろうか…?」
「共犯者」はなかなか凝った展開で面白いです。
「友情の裏側」は「いじめ」を問題にしており、考えさせる内容です。
2022年7月14日 ページ作成・執筆