山本まゆり「リセットシリーズD 消えた男」(2003年6月1日初版第1刷発行)
あなたが人生を後悔した時に現れる堕天使アンリ。
彼は「人生のセーブ係」で、人生を「リセット」できるチャンスを与えてくれる。
あなたが選ぶのは「天使の道」?それとも、「悪魔の道」?
・「消えた男」(2002年「月刊ホラーM」10月号)
「河井茜は超面食い。
彼女が高校一年の時、隣の席の浜畑義和という男子生徒と仲が良くなる。
彼はイケメンとは程遠かったが、その分、気楽に接することができた。
しかし、彼からラブレターをもらった時、「あんなブ男、あたしが好きになるわけないじゃない!!」と言ってしまい、以来、彼は不登校となる。
このことに罪悪感を感じ、人を容姿で判断してはいけないと頭では考えるものの、やはり面食いはやめられない。
ある日、茜と女友達の芳恵と町を歩いている時、物凄くイケメンな青年に声をかけられる。
彼は聖人というホストであった。
茜は彼に入れ込み、女友達の勧めでブルセラに手を出す。
それでも、金は足りず、万引きを見つけた女子生徒を脅迫。
だが、その女子生徒は親の預金を使い込んだことがばれて、自殺する。
ある時、茜が、浜畑から借りていたゲームをしていると、アンリが現れる。
彼は茜を、女子生徒が万引きをしようとする地点にまで戻してくれる。
これで、女子生徒の自殺は防げたものの、ホスト通いはやめられず…」
・「美の報酬」(2002年「月刊ホラーM」12月号)
「奥井ひかりと三上菜穂はぽっちゃり女子高生・コンビ。
二人はサッカー部の高村悟志に片想いしつつも、告白できないまま、卒業する。
二年後、高校のクラス会で、ひかりは菜穂と再会するが、菜穂はダイエットで、スリムな美人に生まれ変わっていた。
悟志も会場の店に来るものの、ひかりはその場にいることがいたたまれず、早々にクラス会を退席する。
痩せようと思い、ひかりが家でダンス・シミュレーション・ゲームをした時、アンリが現れる。
彼のお陰で、ひかりはまだ太っていない、中学一年生の時点にまで戻る。
そこから太らないよう努力を重ねるが、友情を失い、健康を損なう。
そして、中学三年の時に、高村悟志が転校してくるのだが…」
・「仮面の女」(2003年「月刊ホラーM」3月号)
「真理は根暗で引きこもりの少女。
彼女は学校でいじめにあい、また、明るく要領のいい妹の真樹に嫉妬して、卑屈になっていた。
彼女の楽しみは出会い系サイトで「マコト」とメールを交わすこと。
マコトは真理より一つ年上で、外科医が死亡であったが、両親の借金のため、高校を中退して働いているという。
一方の真理は「まりん」という名で、妹の真樹をモデルに、嘘で固めた自分像を作り上げていた。
ある日、マコトから顔写真が届く。
マコトは意外とイケメンで、真理は自分の顔写真を送ることを躊躇し、真樹の写真を送る。
その後、彼が上京することとなり、真理は劇の練習で忙しくて会えないと返信するも、彼が学校まで来て、真樹に会ってしまう。
真樹は姉のメル友のマコトのことを知っており、二人はデートして、肉体関係まで持つ。
そのことを妹に知らされ、真理は嘘の写真を送ったことを心底悔やむ。
その時、プレイ中のゲームの中から、アンリが現れる。
彼により、真理は顔写真を送る前まで戻るのだが…」
・「限られた時間」(2003年「月刊ホラーM」4月号)
「桐ヶ丘高校に入学した藤森ゆきの。
彼女の目的は、中学の美術部での一年先輩の宗宮貴俊に告白することであった。
早速、美術部に入部を希望するも、彼は美術部に「今は」いなかった。
初枝という美術部員に案内され、ゆきのは宗宮のマンションを訪れる。
そこにあったのは、彼の写真が飾られた仏壇であった。
三か月前に貴俊は脳腫瘍により、初枝に看取られながら、最期を迎えたという。
ゆきのは貴俊の心に初枝しかいなかったことが悲しく、彼が卒業する日に告白しておけばよかったと後悔する。
すると、形見分けでもらったゲームにアンリが現れる。
彼女は卒業の日に戻り、貴俊に告白、これをきっかけに二人は付き合うようになる。
しかし、貴俊の病魔は彼を容赦なく蝕んでいき…」
単行本のベストは「限られた時間」でしょう。
でも、「仮面の女」が実にダークで、救いようがなく、こちらが好みという人も多いかも…。
2022年11月8日 ページ作成・執筆