蕪木彩子「スプラッターゾーン@」(1997年5月1日第1刷発行)

・「プロローグ」(「月刊ホラーM」1996年6月号)
「切り裂かれる肉。
 飛び散る血。
 暴き出される内臓。
 ここは血しぶきの迷宮、スプラッターゾーン…」

・「Zone T 血湧き肉躍る」(「月刊ホラーM」1996年6月号)
「クリオとミノリは小学生。
 彼らと同じ年頃の子供が爆発するように弾けて死ぬという奇妙な事件が相次ぐ。
 その事件のせいか、クリオは妙に興奮して心が高ぶり、自分も同じ運命を辿ると予感する。
 ミノリの方も、妊娠中の母親が急によそよそしくなり、夜中、両親が自分を殺す話をしているのを立ち聞きしてしまう。
 翌日、クリオは真っ青な顔でミノリに打ち明ける。
 彼らは「不良品」で、「生まれた時から殺される運命」だと言うのだが…」

・「痛いお話@」(「月刊ホラーM」1996年6月号)
「遅刻した少女。
 彼女は教室のドアを少し開いて、中を窺う。
 ドアが開いているのに気づいた女教師は…」

・「Zone U 恐るべき子供たち」(「月刊ホラーM」1996年6月号)
「結花は、直人に告白してフラれ、また、恭子からはいじめにあい、踏んだり蹴ったり。
 公園でやけ食いをしていると、子供たちが集まって来る。
 彼らは「望みをかなえることができる」と迫り、結花はたわむれに自分の望みを話す。
 彼女の望みは@お小遣いが増えること、A恭子がいなくなること、B直人が彼女を好きになることの三つ。
 それらの願いは叶うのだが、それには代償を払わねばならなかった…」

・「Zone V 罪と罰」(「月刊ホラーM」1996年7月号)
「男族と女族が反目しあう世界。
 ある女学院では、男族と付き合った者は公開処刑と決まっていた。
 処刑方法は短刀で喉を切り裂くというもので、執行は処罰委員の役目であった。
 ユリはハル先生に目を付けられ、処罰委員に任命される。
 人殺しなどそうそうできるわけもなく、ユリはハル先生にとことんいたぶられる。
 遂には、友人まで手にかけねばならず、ユリの憎しみは憎悪の頂点に達する。
 ちょうどその時…」

・「痛いお話A」(「月刊ホラーM」1996年7月号)
「老朽化の進んだ校舎。
 大工が二人、修理した個所の板を運んでいる時、一枚の板が廊下に落ちる。
 そこに女児が走ってきて…」

・「Zone W ベストフレンド」(「月刊ホラーM」1996年7月号)
「亜紀と聖子は友達同士…というのは表面だけ。
 亜紀は優等生の聖子に劣等感を味わわされ、聖子は亜紀を軽蔑していた。
 ある時、亜紀は順という男子生徒に告白される。
 順は聖子が好きだった相手で、亜紀は聖子を苦しめるために、彼をとことんコケにする。
 これに怒り心頭の聖子は彼に亜紀のあることないことを吹き込むのだが…」

・「Zone X 顔盗人」(「月刊ホラーM」1996年8月号)
「早苗はどうしても自分に自信が持てず、森口信悟に告白できなかった。
 公園のブランコに座って、落ち込んでいると、顔に醜い傷跡がある娘が話しかけてくる。
 娘はきれいな顔の仮面を差し出し、これを顔につけるよう勧める。
 一度は断ったものの、これを付ければ美しくなるとしつこく言われ、早苗は仮面を付ける。
 激痛の後、仮面は早苗の顔になじみ、理想通りのきれいな顔。
 早苗は愛美と名乗り、信悟にアタックするのだが…」

・「痛いお話B」(1994年「ホラーパーティー」No.1)
「寝坊して、急いでご飯を食べる少女。
 母親は、皿洗いをしながら、彼女を急かすと…」

・「Zone Y ユリ」(「月刊ホラーM」1996年8月号)
「(「罪と罰」の続き)
 処罰委員のナナは処罰に慣れず、先輩達からなじられていた。
 ナナが不思議なのは、あの優しいユリ先輩でさえ、処刑に対して容赦がないこと。
 初めて人を殺した夜、夕食を吐きそうになって、ナナは外に走り出る。
 すると、木陰で男女が密会している。
 うっとりとする娘を、ナナが興奮しながら見つめていると…」

・「Zone Z 古え少女」(「月刊ホラーM」1996年9月号)
「無理心中のために殺された、ありさの前に、「古え少女」が現れる。
 ありさはこれまでの経緯を「古え少女」に話す。
 中学生の頃、彼女は先輩の修一郎に告白される。
 彼女は、初恋の人で同学年の光弥にも交際を申し込まれていたが、片や大企業の御曹司、片や乱暴者の不良で、彼女は修一郎を選ぶ。
 だが、修一郎はエリートと思いきや、ろくに勉強せず、彼女をそばにいないと何も手につかないヘタレであった。
 それでも、親が多額の寄付金を積んで一流大学に進学し、修一郎は親の会社に就職する。
 これで行く行くは社長夫人と考えていたところ、父親が亡くなり、会社は不景気で倒産。
 絶望した修一郎は旅館で彼女を殺し、自分は首つり自殺をしたのであった。
 「古え少女」はありさの思いに応え、中学生時代にまで時間を戻す。
 今度はありさは光弥を選択。
 彼はアクションスターとして成功するはずなのだが…」

・「痛いお話C」(1994年「ホラーパーティー」No.1)
「姉が料理をしている最中、妹はお腹減ったコール。
 妹はつまみ食いをしようと、まな板へ手を伸ばすと…」

・「Zone [ 爬虫類人間」(「月刊ホラーM」1996年10月号)
「真由美は優等生。
 だが、格下と思っていた万理にテストで負けるようになる。
 彼女への憎しみを燃やすようになった真由美は、子分の靖子と千賀と共に、廃団地で、万理をいじめる。
 髪を剃ろうとした時、万理が逃げ出し、真由美がその手を掴んだ時、指が二本抜ける。
 翌日、登校した万理を見ると、指も髪も元通りになっていた。
 再び、万理を廃団地に連れ込み、今度はベランダの手すりの上を歩かせる。
 千賀は止めようとするが、真由美は嫌がらせをやめず、万理は転落して死亡。
 真由美は、万理の親友だった千賀がばらすのを恐れ、靖子に千賀を殺させるのだが…。
 「爬虫類人間」の秘密とは…?」

 蕪木彩子先生による「スプラッターゾーン」。
 プロローグにあるように、如何様なストーリーでも必ず最後には四肢が切断され、内臓ドバドバとなります。
 まあ、芯が通っていると言えなくもないかも…。

2022年11月21・26日 ページ作成・執筆

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