吉川うたた「すっくと狐A」(1996年11月1日初版第1刷/1997年7月15日第2刷発行)
松下実花(まつした・じっか)は丙午生まれのボーイッシュな女の子。
彼女の通う学校近くの七ツ森神社には玄狐(くろぎつね)の唱(となう)が祀られており、彼女は唱が力を取り戻す手助けをする。
以来、実花と唱は様々な怪異と直面することに…。
・「夜行」(1994年「月刊ホラーM」11月号)
「実花の高校で学園祭が開催される。
実花と弓弦は見学に出かけると、校内は凄い人だかり。
だが、弓弦によると、人間でないものの混じっているらしい。
しかも、学園祭に唱も来ていた。
彼は今日は「庚申の日」で、鬼たちが多く繰り出していると話す。
弓弦は「庚申」と聞いて思い当たることがあり、二人は体育館のある西南に向かう。
そこには鬼の死体が山積みになっていて、その死体を同族の鬼が喰らっていた。
鬼と戦っていると、実花と弓弦は学生たちに囲まれ、体育館に連れていかれる。
そこに「夜行」という妖怪が現われ…」
・「小刑部姫」(1994年「月刊ホラーM」12月号)
「川田は引っ込み思案でおとなしい女子生徒。
彼女は中森草太に想いを寄せていたが、彼のそばにはいつも実花がいた。
そんな彼女の想いに小刑部姫はつけ込み、彼女にとり憑く。
小刑部姫は実花に唱を奪われたと恨んでおり、川田を操って、実花に復讐しようとする…」
・「面霊鬼」(1995年「月刊ホラーM」1月号)
「隣の西町にある夜ノ森稲荷のあたりで何人もの人が失踪する。
実花の知り合いのカップルも行方不明となり、下校途中、実花と弓弦がそのことについて話していると、以前(「人面樹」)、会った青年が現れる。
彼は行方不明者の行方を知っているようで、実花を夜ノ森稲荷の社の中へと招く。
すると、扉が閉ざされ、壁の中から面霊鬼が現れる。
面霊鬼は人を喰い殺しては、仮面に変える妖怪であった。
唱は助けに来るも、ここは彼の結界でなく、入ることができないが…」
・「魑魅(すだま)」(1995年「月刊ホラーM」2月号)
「冬休み、実花と弓弦は中森草太のおじの家を目指し、雪道を行く。
途中、吹雪が激しくなり、二人は目についた空家に避難する。
弓弦によるとここには何かがいるとのことだが、背に腹は代えられない。
囲炉裏に火を入れ、二人は横になるが、実花は弓弦がいつの間にかいなくなっていることに気付く。
家の中を捜すと、たくさんの位牌や人形が見つかり、ようやく弓弦を見つけるも、彼女は白装束で正座をして座り、実花の呼びかけに答えない。
そして、弓弦の前には大勢の子供の霊が現われ、遊んでとせがむ。
また、外には何ものかの気配が近づいてきていた。
弓弦にとり憑いているものの正体は…?」
・「数珠掛狐」(1995年「月刊ホラーM」3月号)
「二月の最初の午の日、バレンタインデーを目前にして、クラスはちょっとウキウキ・ソワソワ・モード。
だが、授業中、突然、黒板から化け物が現れ、学校中がパニックになる。
生徒たちも先生も次々と殺され、中森草太は弓弦をかばい片腕を切断される。
気が付くと、実花は誰もいない空間で皆を捜していた。
やっと見つけるが、クラスメートたちは実花が妖怪とつるんでいるせいと責め、彼女に襲いかかる。
また、弓弦と草太は抱き合い、彼女を見てもくすくす笑っているだけであった。
その二人の首を唱ははね、実花は自分が守ると言うのだが…」
・「キジムナー」(1995年「月刊ホラーM」3月号)
「晩、実花がスーパーが出かけると、天本の古い屋敷の敷地で薄着の少年を目にする。
この屋敷は天本という老人の持ち物であったが、病気で入院中に荒れ果て、老人が亡くなった後は息子がマンションを建てる計画をしていた。
翌日の放課後、実花はまたあの少年を見かける。
彼を追い、敷地内の温室に入ると、動物化された人間がいた。
植物の陰に妖怪らしき気配があり、実花が逃げようとすると、ロープのようなものが体に絡み、木の上に吊り上げられる。
木の上にはあの少年がおり、妖怪から彼女を守ってくれるが、少年の正体とは…?」
「面霊鬼」は強烈な残酷描写があって、トラウマ度は高めです。
ただ、面霊鬼の説明が少しだけでも欲しかったです…。
2026年3月13・14日 ページ作成・執筆