吉川うたた「すっくと狐B」(1996年12月1日初版第1刷/1997年7月15日第2刷発行)
松下実花(まつした・じっか)は丙午生まれのボーイッシュな女の子。
彼女の通う学校近くの七ツ森神社には玄狐(くろぎつね)の唱(となう)が祀られており、彼女は唱が力を取り戻す手助けをする。
以来、実花と唱は様々な怪異と直面することに…。
・「絵に棲む怪」(1995年「月刊ホラーM」5月号)
「美術教師と美術部の赤坂が行方不明になる。
昨晩遅くまで赤坂が美術室で絵を描いていたと聞き、実花、結弦、草太の三人は美術室に行ってみる。
美術室には赤坂の描いていた絵がイーゼルに残されていたが、その絵には扉が描かれているだけであった。
実花と草太が近づくと、絵の扉が開き、中から妖怪の手が現れる。
掴まった草太は絵の中に引きずり込まれそうになり、実花と結弦は必死に彼を引き上げようとする。
唱が現れ、事なきを得るが、この扉を封じるには…?」
・「山海」(1995年「月刊ホラーM」6月号)
「節句、実花は結弦の家で菖蒲湯のための菖蒲を取る。
家に戻る途中、蔵の中から子供の泣き声が聞こえてくる。
蔵の中には誰もおらず、床に古書が散らばっていた。
古書の中から子供の泣き声が聞こえてくるようで、実花が本を開くと、二人は本の中に吸い込まれる。
そこは古代中国の書物に出てくる蔓渠山で、実花は顔は青年、体は虎という妖し(馬腹)と出会う。
この山には人を喰う妖怪がいると言うので、彼女は馬腹に付いていくのだが…。
一方、結弦は滝のそばの大木の下で彭候に声をかけられる…」
・「姑獲鳥」(1995年「月刊ホラーM」7月号)
「実花の服にいつの間にか血の跡がついている。
よくよく見ると、それは鳥の足跡のようであった。
放課後、実花が草太と一緒に歩いていると、巨大な鳥に襲われる。
気が付くと、彼女は中国風のお屋敷の中にいた。
そこに婦人が現れるが、彼女は実花を自分の娘と思い込んでいる。
与(あたう/夜の森稲荷の白虎)の姿もあり、実花は婦人が人間でないことに気づく。
彼女は眠くなったと婦人に訴え、寝室から逃げ出すのだが…」
・「土龍」(1995年「月刊ホラーM」8月号)
「いまだ梅雨の明けない7月のある日。
実花の学校で蛭、ナメクジ、ミミズといった虫が大量発生する。
叶(数珠掛稲荷の狐)によると、この地に土龍が近づき、その眷属である虫が力づいているのだという。
学校は休みになり、実花は帰宅するも、学校のことが気になって仕方がない。
晩、学校に向かうと、途中で結弦と合流する。
学校では巨大化した虫たちがうようよしており、更に、巨大なミミズのような妖怪(土龍)が近づいてくる。
叶は土龍を倒すため、火の気の強い実花を貸してくれるよう唱に頼むのだが…」
・「人魚」(1995年「月刊ホラーM」9月号)
「実花たちは網島に旅行の予定であったが、実花と結弦はフェリーを逃したと言われ、ある老人に漁船に乗せてもらう。
しかし、老人の島は神島であった。
島では午後から村の人魚の祭りがあるため、船を出せず、実花と結弦は祭りを楽しもうと考える。
晩、着物姿の二人は表に出るが、人の気配がない。
老人と出会い、祭りの会場を問うと、二人は村人たちに捕らえられる。
実花は結弦と引き離され、柱に縛られた実花は海に面した鳥居の下で人魚の生贄にされることとなるのだが…」
・「月の桂」(1995年「月刊ホラーM」10月号)
「学校で欠席者が多発するようになる。
ある夜、実花は欠席していた生徒たちが学校へ歩いていくのを目にする。
彼らには影がなかった。
生徒たちは教室の席についていた、実花が話しかけても全く反応しない。
その時、結弦が廊下を歩いているのが見える。
彼女にも影がなく、後を追うと、最上階よりも更に上に続く階段を昇っていく。
その扉の向こうには…」
相変わらず、人が死にまくって、ちょっと感心してます。
個人的に印象に残ったのは「土龍」。
このミミズっぽい奴が新海誠監督の「すずめの戸締り」をちょっぴり先取りしていたと言えないこともないかもしれません。(歯切れ悪し。)
ただ、すぐ唱に倒されちゃうのが残念でした…。
2026年4月4・6日 ページ作成・執筆