吉川うたた「すっくと狐C」(1997年4月15日初版第1刷発行)
松下実花(まつした・じっか)は丙午生まれのボーイッシュな女の子。
彼女の通う学校近くの七ツ森神社には玄狐(くろぎつね)の唱(となう)が祀られており、彼女は唱が力を取り戻す手助けをする。
以来、実花と唱は様々な怪異と直面することに…。
・「絡新婦(じょろうぐも)」(1995年「月刊ホラーM」11月号)
「実花は唱にプロポーズされたためにちょっと考え込みがち。
そんな彼女を元気づけようと友人たちは彼女を遊園地に誘う。
遊園地には新施設の迷路があり、彼女たちは入ってみるが、そこは蜘蛛の妖怪の巣であった。
実花と弓弦も捕らえられるが、そこに唱がやって来る。
実花と弓弦は友人たちを助けて迷路から脱出しようとするが…」
・「暗鬼」(1995年「月刊ホラーM」12月号)
「遊園地の件以来、唱は実花の前に姿を現さなかった。
唱は鳥居の番をしているらしいが、実花は自分の周囲にますます妖怪が現れ、誰かが傷つくのを危惧する。
もやもやした気持ちを抱きながら帰宅すると、母親が料理を作っていた。
だが、それは人肉料理で、母親は何かにとり憑かれていた…」
・「朱鳥の檻(注1)」(1996年「月刊ホラーM」1月号)
「周囲の人々を守るため、実花は唱と縁を切ることを決める。
しかし、彼女は唱への想いを断ち切れず、考えは堂々巡りをするばかり。
そんな彼女の前に人面鳥が現れ、彼女を唱のいない世界へと連れて行く。
ここでは三ヶ月前、地面が突如、陥没して、七ツ森の山と学校が崩壊し、多数の犠牲者を出していた。
しかも、この世界には稲荷神社が一つもなく…」
・「迷家」(1996年「月刊ホラーM」2月号)
「実花は唱に会うため、七ツ森稲荷を訪れる。
だが、社には山伏の一団がいた。
山伏の正体は天狗で、逃げる実花をカラス天狗が追ってくる。
ふと気づくと、実花は古いお屋敷の中にいた。
中には人の気配がなく、現実にはありえないようなものが存在している。
実花はここが「迷家」で、この家のものを何か一つ望まねば帰ることができないと知るのだが…」
・「鬼やらい」(1996年「月刊ホラーM」3月号)
「節分を目前に控えたある日、学校に雪鬼が現れる。
雪鬼の目的は実花であった。
実花・弓弦・草太は家庭科室に逃げ込むが、雪鬼により弓弦と草太は氷漬けにされてしまう。
実花は雪鬼に二人をもとに戻すよう訴え、雪鬼は彼女を捕まえようとするが…」
・「黒イ(注2)」(1996年「月刊ホラーM」4月号)
「弓弦が彼女の家の蔵で古い町の地図を見つける。
その地図の中心には唱の守る鳥居が描かれ、鳥居はぐるりと七つの稲荷神社に囲まれていた。
そして、実花たちの学校は「うしとら」の方角にあり、その方角は「鬼門」といって「(門に向かう)妖怪の通り道」であった。
その話をしていると、見知らぬ男子生徒が話に加わってくる。
彼は巽(たつみ)という名らしいが、唱や門のことに詳しく、明らかに人間ではない。
巽は実花と二人きりで話をしたいと彼女を誘い、彼女は応じる。
その頃、校内では妖怪が現れ、無差別に生徒たちを襲っていた…」
この巻では実花の唱への揺れる想いがメインで描かれ、実花と唱の関係が急接近します。
一方で、不穏な空気は濃くなる一方で続巻への期待が高まります。
・注1
「朱+鳥(シュ)」という漢字があるのですが、私のパソコンでは変換しても出てこないため、「朱鳥」という表記にしております。
・注2
「イ」の漢字は「生の下に目」というものですが、私のパソコンでは「環境依存文字」扱いで面倒なため、カタカナ表記にしております。
2026年5月28日 ページ作成・執筆