吉川うたた「すっくと狐G」(1998年5月1日初版第1刷発行)
松下実花(まつした・じっか)は丙午生まれのボーイッシュな女の子。
彼女の通う学校近くの七ツ森神社には玄狐(くろぎつね)の唱(となう)が祀られており、彼女は唱が力を取り戻す手助けをする。
以来、実花と唱は様々な怪異と直面することに…。
・「夜行都市」(1997年「月刊ホラーM」11月号)
「冬休み、実花と弓弦は、弓弦の叔母が出張中、そのマンションに滞在する。
実花は早起きして早速、東京見物に出かけると、通りすがりの稲荷で黒服の男たちが老人を取り囲み乱暴しているのを見かける。
実花が大声を出すと、男たちは退散するが、老人はその稲荷の狐であった。
黒服の男たちの正体については全くわからないものの、噂によると、何者かによって稲荷の狐が狩られているらしい。
実花は老狐と別れるが、黒服の男たちに目を付けられ、帰宅途中に拉致される。
駆けつけた唱に助けられるものの、あの稲荷の老狐は…」
・「天狐狩り@」(1997年「月刊ホラーM」12月号)
「実花たちは篝(かがり)というちびっ子狐と出会う。
篝はビルの屋上にある小さな稲荷の守り狐で、老狐を唱が殺したと思い込んでいた。
老狐の仇を取ろうと篝は黒服の男たちに唱のことを話すが、逆に捕らえられてしまう。
一方、唱は東京の稲荷の狐を呼び集め、自分の見たことについて話す。
だが、シナの木の社の女狐しか彼の言葉に耳を貸そうとはしない。
その時、槐(えんじゅ)と名乗る黒服の男が唱に話しかけてくる…」
・「天狐狩りA」(1998年「月刊ホラーM」1月号)
「女狐から教えられた隣町のビル。
ここには寺が入っていると言うが、何やらイヤな気配がするという。
唱は、人間が天狐を狩る理由を探るため、女狐と共にそのビルに潜入する。
上階に確かに寺が入っているが、問題はその下の窓も入り口もない階。
この階には結界が張られているが、唱と女狐がそこで目にしたものとは…?」
・「槐@」(1998年「月刊ホラーM」2月号)
「唱は黒服の男たちが天狐から何を奪っているかを知る。
それでもなお、東京の天狐たちは唱を信用しない。
一方、実花の前に槐が現れる。
槐は相変わらず、軽いノリで自分たちが狐を狩る理由を実花に教える。
どうやら死にそうな人間がおり、その人間を長生きさせるために狐の宝が必要らしいのだが…」
・「槐A」(1998年「月刊ホラーM」3・4月号)
「唱はこの事件の黒幕と対決する。
しかし、弓弦が人質にされてしまい、刃向かうことができない。
黒幕は自分の望みを達成しようとするが、その意外な代償とは…?
一方、実花は唱と弓弦を救うため、ビルの上階に来る。
その頃、結界は崩壊しつつあり、東京は危機に瀕していた…」
この単行本では、天狐狩りをする僧侶の一団との戦いを描いております。
ミステリー仕立てで、テンポも良く、クライマックスもなかなか盛り上がります。
ただ、この作品に出てくる僧侶の一団は密教関連らしいけど、天狐を狩るのはともかく、人に暴力を振るったり殺したりしてもいいのでしょうか?
他にも、槐と橘との関係(個人的に、親友同士ではないかと推測)とか、あんな組織を立ち上げなくても黒幕一人で十分できたのではないか?とかいろいろと思うところはありますが、まあ、面白かったのでオーライです。
2026年8月3日 ページ作成・執筆