田野稔「悪魔の墓場」(150円)



「奥平の藩士、落海志喜は、恐ろしく醜い容貌をしていた。
 幼い頃より、この容貌に苦しめられていたが、両親の「人は姿よりも心」という教えに従い、忠勤一筋に励む。
 だが、真面目に勤めたら、勤めたで、てらっていると言われ、どのみち、人からはいつも蔑まれていた。
 我慢に我慢を重ねていたが、ある時、失恋をからかわれ、彼の我慢は限界に達する。
 その夜、志喜は、嘲笑した相手を待ち伏せし、斬殺した後、逃亡。
 一年後、志喜は飛騨山脈の一角に到着する。
 偶然、見つけた人家には盲目の娘が一人で住んでいた。
 娘は非常に謎が多く、彼女に興味を抱いた志喜は、そこに住みつくこととなる。
 家の近くには「悪魔の墓」という場所があり、一度入った者は二度と出てくることはないと言われる。
 志喜は「悪魔の墓」に入ってみようとするものの、いつの間にか女がそばにいて、果たせない。
 そのうちに、人間らしい暮らしを取り戻した志喜は「悪魔の墓」のことは忘れ、女との生活を心から楽しむようになる。
 しかし、四か月後、幕府の命を受けた忍者達が「悪魔の墓」に侵入。
 女は志喜に別れを告げ、忍者の後を追う。
 志喜も「悪魔の墓」に入っていくと、そこには忍者達の死体があった。
 「悪魔の墓」の奥にある部落の秘密とは…?」

 トラウマ漫画を扱ったムック(捨てられたので、手元になし)で軽く紹介されたことのある「悪魔の墓場」。
 タイトルは、強烈なスプラッター描写で有名なゾンビ映画(注1)と同じですが、当然ながら、全く関係がありません。
 ただし、ゾンビの代わりに出てくるのは、「フリークスの部落」。
 となると、おどろおどろしい内容になるかと思いきや、主人公はフリークス達に、「人は姿ではなく心」であることを世間の人々に示そうではないかと提案。
 主人公は殿様に頼み、庭番に取り上げられたフリークス達はよく勤め、人々の差別心も薄れていくという、ハートウォーミングな結末となっております。
 早すぎた「グレーテスト・ショーマン」とか?(んなワケ、ね〜だろ!!)

・注1
 人間の腹を裂いて、内臓を貪り食うゾンビを(恐らく)最初に描いたゾンビ映画ではないでしょうか?
 また、病院でゾンビが暴れるところもポイント高いです。(でも、病院、ガラガラで、ほとんど犠牲者いない…。)
 個人的な思い出となりますが、小学生の頃から観たくて、いろんなビデオ・レンタルを回ったものの、観る機会に恵まれず、大学生になってようやく観れたという思い出深い映画でもあります。(これと似た思い出があるのが「怪人ドクター・ファイブス」)
 んで、念願叶ったものの、ストーリーはちと退屈に感じました。害虫駆除機が原因っていうのもちょっと…。

・備考
 ビニールカバー剥がし痕あり。カバーに痛み。糸綴じあり。本文、切れや裂け、多し。pp6・7、鉛筆での落書きあり。pp21〜24、pp31〜34、pp61・62コマにかかる欠損あり。後ろの遊び紙に鉛筆での記入と、貸出票の剥がし痕あり。

2018年10月19日 ページ作成・執筆

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