「怪談特集G」(150円)

 収録作品

・東田健二「忍者・影」
「戦国時代。戦での唯一の生き残りである、千葉忠信の息子、小七郎。彼は、仇の筑波広重に近づこうとして、謀反の陰謀に巻き込まれる…」

・ふじはら利彦「怨霊魔風城」
「鬼頭一族が治める魔風城。城では毎夜、怪異が起きる。それは、鬼頭一族の陰謀により取り潰しになった稲葉家の子孫、幽四郎の仕業であった。幽四郎は忍術の修行を積み、幻術を駆使していたのだった。鬼頭一族は、宮本武蔵を呼んで、怪異に立ち向かおうとするが…」
 宮本武蔵が出ておりますが、年老いており、肝心な場面で喀血、何の役にも立っていません。

・山口勇幸「二重乃影」
「ある使命を帯び、旅をする武士。彼の使命とは、宝刀を取り戻すために、宝仏を暗黒城へ運ぶことだった。途中、宝仏を盗まれ、盗んだ男を斬殺、止めに入った僧をも斬り殺してしまう。暗黒城で宝刀を取り戻したものの、帰途で度々、身に覚えがないのに犯人扱いされるというトラブルに見舞われる。武士の身辺には、自分と瓜二つの男が出没するのであった…」
 ストーリー的には、古典的な「ジキル博士とハイド氏」と「ドッペルベンガー」を下敷きとしたもので、特に新味があるわけではありません。
 ここでの見所は、主人公が訪れる暗黒城の描写です。実際、暗黒城の住民はフリークスとしか言いようがなく、主人公が10ページも右往左往する様は、まさしくバッド・トリップ。
 これだけでも価値があります。

2014年4月29日 執筆・ページ作成

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