「怪談特集・別冊 骨を返して」(150円)
収録作品
・船野竜児「骨を返して」
「江戸で捕縄小町と名高い、お喜久は、疾風の旦那から呼ばれて、湯元に向かう。
が、途中、道に迷ってしまい、日も暮れてしまう。
ようやく辿り着いた小屋には、不気味な隠亡(おんぼう)の老人と若い娘の死体があった。
隠亡はお喜久を斧で襲うが、死んだ娘の代わりとなったら、助けると言う。
お喜久はそんな申し出を受けるわけはなく、捕縄で戦っているうちに、隠亡は雪崩に巻き込まれてしまう。
再び山中をさまよう、お喜久の前に、少女が現れ、目的地の湯元の手前の旅館に案内してくれる。
その夜、お喜久の部屋に少女が現れ、姉の骨を取り戻して欲しいと頼んでくる…」
よくわからない話です。
・山本光男「黒狸亭の謎」
「月影健次は、友人の尾方四郎から手紙を貰い、黒狸亭を訪ねる。
応対に出たのは、セムシの年老いた従者であったが、彼から四郎が三日前に首吊り自殺をした旨、聞かされる。
健次は、黒狸亭の主人、目黒政次に会い、詳しいことを聞く。
目黒によると、四郎は黒狸亭裏の巨人像を絵に描き始めてから、徐々に神経衰弱になっていったらしい。
この巨人像には悲しい伝説があり、四郎はこの巨人像に呪われたのかも、と目黒は話す。
しかし、手紙の文面を見る限り、四郎が神経質になった様子はない。
健次は四郎の部屋を探すと、四郎の日記帳が隠されているのを見つける。
そこには、ある武将が軍資金と共にこの山中に落ち延びたという逸話に興味を抱いたことが書かれてあり、小判が一枚挟まれていたのであった。
真相は如何に…?」
タイトルにもある「黒狸亭」は「コックリ」に漢字を当てたものでしょう。
あの当時(1960年代前半)に「コックリさん」とかあったんですかね?
つのだじろう先生がオカルト漫画で紹介する以前にも、あったのかもしれませんが、私には知る由もありません。
・山口勇幸「黒い手」
「1760年頃、兵庫県の山奥で本当にあった出来事(と、書いてあります。)
三年前に失踪した、お里という女房を探し続ける侍。
ある夜、黒い手が彼に執拗につきまとう。
これは彼のせいで三年前に無実の罪で果てた男の怨霊であった…」
へっぽこな話ですが、それ故にこそ、愛おしい…。
小島剛夕先生の「黒い腕」(貸本/ひばり書房/「オール怪談・58」収録)、ビアス「アウル・クリーク橋の一事件」の要素もあるような、ないような…。
何が凄いかって、片腕を切断されながら、全力疾走で逃げまくる描写が凄い!!(バスター・キートンの如く、走る、走る、走る!!)
普通だったら、出血多量で死ぬだろう、と思っていたら、ラスト、切断された腕がいつの間にやらくっついてました。
テキト〜過ぎる…それ故にこそ、愛おしい…。
・備考
ビニールカバー剥がし痕あり。カバーの前後の袖に痛み。糸綴じあり。読み癖あり。小口の三方に貸本店のスタンプ押印。pp25・26、pp51・52、コマにかかる裂けあり。pp72〜74、汚れひどし。pp121・122、コマにかかる、欠損になりそうな裂けあり。
2016年3月18・19日 ページ作成・執筆