いなば哲「怪談呪殺やけど人形」(170円/1962年頃?)



 収録作品

・「呪殺やけど人形」
「片桐兄妹は、父親を亡くし、母親も今、病気で瀕死の状態にあった。
 兄の片桐真二郎は、医者の大杉章玄に西洋渡来の新薬を求めるも、貧乏人故、あっさり断られる。
 結局、何もできないまま、母親は亡くなり、真二郎の大杉章玄への憎しみは募るばかり。
 そこで、彼は、章玄の藁人形を作り、夜中、その人形を油で煮た後、刀で突き刺す。
 これですっきりして、真二郎は眠りに就くが、翌日、章玄の屋敷が火事で燃え、章玄と使用人の吾助が焼死したことを知る。
 真二郎の友人、田中利之助は、真二郎が章玄を呪殺し、金を奪ったと睨み、彼を脅迫する。
 一方、真二郎は、田中が真犯人で、真二郎に濡れ衣を着せようとしていると考える。
 殺られる前に殺れ!で、真二郎と田中は相手を呪い殺そうとするのだが…」

・「足」
「二人の浪人、松方と猿田が浜で捕まえたタコ。
 それは母タコで、娘のタコは浪人を追って、そのあばら家に辿り着く。
 あばら家では、二人の浪人が、タコをつまみに、酒を喰らっている最中。
 そのうちの一人が、娘のタコに気が付き、縁側に出てみると、娘のタコは人間の娘に変身していた。
 二人の浪人は、娘に酌をさせて、いい気分。
 夜も更け、浪人達は隣室に娘を休ませると、二人は彼女を売りとばす相談をする。
 そして、、娘が逃げ出さないよう、夜中、交代で見張りをする。
 深夜、浪人が一人になった時、娘の復讐が始まる…」

 タイトル作品の「呪殺やけど人形」は、呪詛合戦になるのかと思いきや、中途半端なラストを迎えて、出来はイマイチだと思います。
 それよりも、併録作品の「足」の方が遥かに面白いです。
 不思議なムードのある傑作短編で、タコ娘が浪人に淡々と迫るシーンは奇妙な味わいです。
 「足」は、唐沢俊一氏「カルトホラー漫画秘宝館 みみずの巻」(ネスコ/1996年4月23日発行)にて、復刻(一部、「つんぼ」「おし」を使ったセリフを修正)されております。
 簡単に読むことができますので、興味ある方は是非お読みください。(いなば哲先生の作品、いいですよ!!)

・備考
 ビニールカバー貼りつき。糸綴じあり。前後の見開き、厚紙で補強、また、書き込みあり。pp4・5の下部にひどい汚れあり、それが前後のページに染みになっている。

2019年11月5日 ページ作成・執筆

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