沢田竜治「血を呼ぶ霧」(200円)


・「血を呼ぶ霧」
「脳腫瘍のため、余命一月の青年、月影亡太郎。
 霧深い夜、そのことに思いを巡らしながら、歩いているうちに、荒れ果てた山中の墓場に迷い込む。
 そこには、錫杖(しゃくじょう)を持った、怪しい道士が亡太郎を待っていた。
 道士は亡太郎の病気のことを知っており、命を自分に売らないか、と持ち掛ける。
 そうすれば、亡太郎は十年でも百年でも望みのままに生きられると、道士は言う。
 たちの悪い冗談と亡太郎はその場を去るが、翌晩、道士の正体を確かめるため、再び同じ場所に赴く。
 だが、魂を抜かれたように、亡太郎は道士の後について、深い霧の中に消えていくのであった。
 それから数日後、夜毎、侍達が何者かに襲われ、斬殺された後、喉から血を吸われる事件が起こる。
 与力の岩見銀之丞も岡っ引きの清次も皆目犯人の見当がつかない。
 そんなある夜、清次は怪しい黒づくめの人物を見かけ、銀之丞と二人で後をつける。
 だが、途中、感づかれ、銀之丞は命が助かったものの、清次は斬り殺されたうえ、喉を喰い破られていた。
 現場には「月影」の銘のある印籠が落ちており、銀之丞は月影家を訪ねる。
 しかし、犯人の目星をつけた月影亡太郎は、意識不明のまま、床に臥せていた…」

・「死者よ安らかに眠れ」
「あるへんぴな町に、町人に借金をして首が回らない侍、黒川と松川がいた。
 二人は、黒川と同じ道場の仲間であった浮草兵庫と偶然に出会う。
 黒川は浮草兵庫を自分の屋敷に誘い、そこで兵庫が何故この町を訪れた理由を聞く。
 兵庫は、自分の叔父が使用人に殺され、逐電した使用人を追って、この町に来たのであった。
 この使用人は佐平という名で、よく働くのだが、若干頭がおかしいところがあり、動物を殺しては、その血で「×」印を書く奇癖があった。
 そして、この町には佐平の父親がおり、その父親とは、金貸しの作兵エであった。
 黒川は兵庫に翌日、作兵エのもとに案内することを約束する。
 しかし、その夜、作兵エは殺され、そばには血で描かれた「×」印があった…」

・備考
 ビニールカバー剥がし痕、ちょっとあり。カバー貼りつき。前の遊び紙、折れあり。後ろの遊び紙、貸出票の剥がし痕あり。

2016年7月30日 ページ作成・執筆

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