沢田竜治・久ろだまさみ・ふじはら利彦「呪 怪奇時代二人集」(160円)
収録作品
・沢田竜治「死滅」
「地頭流、黒木一心は、明日の御前試合の相手、室町左近を闇討ちにして、殺害。
その死体を、からす山へ運び、そこに棲むカラスの餌にする。
だが、崖から突き落とした左近の死体が、何度殺しても、生き返る。
一心は家に逃げ帰るが、そこで左近の幻を目にする。
左近の死をちゃんと確かめて、死体を埋めるため、一心は鍬を片手に再びからす山に向かう。
父親の様子を不審に思い、息子の新吾はその後をつけるのだが…」
・久ろだ・まさみ「破顔」
「肥前平戸の領主、松浦肥前ノ守は非常に気の短い男であった。
家臣、堀源左エ門が病気で休んでいることに腹を立て、登城するよう厳命する。
無理をおして、堀源左エ門は現れるが、その顔は包帯で厚く包まれていた。
肥前ノ守はその顔を見せるよう言うのだが…」
・ふじはら利彦「死霊屋敷」
「幽四郎は、おじの弦斉が住む、人里離れた邸を訪ねる。
その邸には、弦斉の他に、下男の左平次、用人の諸木一角が暮らしていた。
弦斉は心臓が弱く、子供がいなかったため、諸木一角を養子に迎えようと幽四郎に話す。
幽四郎はその話を聞いて喜ぶも、急に顔色を変える。
床の間には、大鎌を手にした、目のない男を描いた掛け軸が飾ってあったが、幽四郎はこれは「呪いの掛軸」だと言う。
弦斉は一笑にふすも、幽四郎が鎌の刃のところを触ると、彼に指には血がついていた。
数日後、弦斉は心臓麻痺で急死する。
左平次は気味悪がって邸を去り、一角は財産を相続する。
だが、弦斉の死には誰もが疑問を抱いていて…」
沢田竜治先生「死滅」は、幽霊があまりにしつこくて、かなりインパクトがあります。
久ろだ・まさみ先生「破顔」は、三ページ程の小品で、何故か目次に載っておりません。
一応、「怪奇時代二人集」だから?
ふじはら利彦先生はラストが意味不明で、失敗作だと思います。
折角、鎌を持った男の絵の話なんだから、さがみゆき先生の名作「魔女を切り裂け」のように派手にやればいいのに…。
・備考
カバー貼りつき、また、痛みや補修、裂けあり。パラフィン紙剥がし痕あり。一部、綴じ外れ。前の遊び紙、折れてヨレヨレ…。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕あり。
2021年8月29日 ページ作成・執筆