工藤市郎・東田健二「地の果ての女/奇怪な少女」(170円)
収録作品
・工藤市郎「地の果ての女」
「土佐屋嘉吉の息子の不審な死に続き、川上十大夫の息子、十次郎も殺害される。
犯人は「地の果てから来たもの」を名乗る、黒頭巾で片目の女性剣士であった。
川上十大夫は新潟奉行だった頃、土佐屋嘉吉と共に、佐渡の金の横領する。
その際、計画に反対した三浦喜平とその一家を皆殺しにした過去があった。
十大夫と土佐屋は、三浦家の生き残りの仕業でないかと考える。
一方、黒頭巾の女剣士は、土佐屋の娘、八重を連れ去ろうとする。
そして、彼らの様子を窺う、伊賀忍の男がいた。
女剣士の正体と、その目的とは…?」
・東田健二「奇怪な少女」
「金亀城の主、仙石登佐守と、美代の方の娘、千代姫(8歳)。
彼女の唯一の悲しみは、三ケ月前に、母親が行方不明になったことであった。
彼女は非常に不思議な少女であり、謀反を企む家老が、いくら刺客を差し向けても、ことごとく返り討ちにする。
また、殿に忠実な家臣、高田は、行方不明になった千代姫を捜しまわるものの、彼女は実に神出鬼没で、忽然と姿を消してしまう。
城では、家老が、殿と高田を岩石で圧殺しようとするが、何故か、死体が見つからない。
更には、殺したはずの千代姫が現れ、殺ったと思ったのも束の間、千代姫と思ったのは土塊であった。
混乱した家老は、自分の仕掛けた落とし穴にあやまって落ちてしまう。
底には、行方不明になった美代の方が発狂しており、誰かわからぬ腐乱死体もあった。
だが、家老には、美代の方を穴底に監禁した覚えは全くない。
千代姫によって穴に落とされた、家老の息子、直四郎は、瀕死の父親から、ある意外な事実を聞かされるのだが…。
一方、殿と高田は、隠れ場所に身を潜め、危険から逃れていた。
千代姫の今までの奇怪な行動は全て、父親からの言いつけで、その代わりに、母親が戻ってくるとの約束であった。
しかし、事態は意外な方向に展開する…」
タイトル通り、奇怪な作品で、どう説明したらいいのか悩みます。
ただし、説明しづらい理由の半分は、ストーリーの説明不足&構成の難で、単に話がわかりにくいだけです。
まあ、様々な見せ方の工夫をしておりますので、意欲的な作品という評価はできると思います。
冒頭の少女の下りは、とってもシュールで、味わい深いです。
・備考
ビニールカバー貼り付けあり。糸綴じの穴あり。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕あり。
2021年2月12日 ページ作成・執筆