楳図かずお「こわい本 闇のアルバム」(2016年11月20日第1刷発行)
収録作品
・「闇のアルバム」
・「本」(1968年「プレイコミック」)
「茂木は板橋の製本会社に勤めるサラリーマン。
彼は秋子という女性と会い、結婚する。
幸せな毎日が続いていたが、それは秋子の指にできたアザによって破られる。
秋子が病院で診察を受けた後、茂木は彼女が悪性の腫瘍に侵されていることを医者に知らされる。
もはや手遅れで、将来的には秋子の全身に腫瘍が広がり、死を待つばかり。
マンションの部屋で秋子は衰弱していくのを見て、茂木はある決意をする。
彼は、彼女が醜くなる前に、自分の手で殺したのであった。
彼は会社をやめ、部屋に閉じこもる日が続く。
彼は一日中、飽きずに一冊の本を見つめているのだが…」
・「ダリの男」(1970年「プレイコミック」掲載)
「自分の醜さにとり憑かれている男。
男は長年憧れていた梨麻と結婚する。
しかし、女性が迎え入れられた家は、家の構造、家具調度まで全て歪んだものであった。
男は女性の感覚自体を歪ませ、彼の姿を美しいものに思わせようとするが…」
・「残酷の一夜」(1969年「週刊少年キング」掲載)
「風の吹きすさぶ夜、病院で男児が産まれる。
夫婦は赤ん坊を半ばあきらめており、心から喜ぶが、そこに「死神」と称する男が現わる。
彼は赤ん坊は将来、世界を破滅に導く存在になると告げ、呆気に取られる夫婦の目の前に男は穴の開いた箱を置く。
この中を覗くと、未来が見えるというのだが…」
・「凍原(ツンドラ)」(1973年「ビッグコミック」掲載)
「平凡な主婦。
夫はまじめでおとなしく、一人息子は大学生。
彼女のこれまでの人生は穏やかで平凡な日々の連続であり、それはこれからも続くように思われた。
ある晩、玄関の呼び鈴が鳴る。
夫と思ってドアを開けると、そこには目出し帽にコートの怪しい男がいた。
その男は彼女に乱暴しようとするが、彼女は抵抗し、小指を喰いちぎる。
男は逃げ、彼女は夫の帰りを待つが、帰宅した夫の顔色はすぐれない。
彼は何故か右手をポケットから出そうとせず…」
・「首」(1970年「プレイコミック」掲載)
「ある男が、会社の政策上、シホ子という女性と結婚する。
シホ子は傲慢な女で、もらわれ婿の彼を軽蔑し、徹底的に拒絶する。
男は彼女に指一本触れるのを許されないにも関わらず、その美貌故に、虜になっていった。
そのうち、シホ子は平然と浮気をし始め、彼の苛立ちは募っていく。
ある夜、彼が車で彼女を捜していると、浮気相手と別れた彼女が人気のない通りを歩いているのを目にする。
彼は車のスピードを出し、シホ子を轢殺。
シホ子の死体は首が切断されていたが、どうしてもその首が見つからない。
彼はシホ子の死体を海岸に運び、車もろとも海へ落とし、シホ子は行方不明となる。
その後、彼はシホ子の家を出て、直子という平凡な女性と結婚する。
幸せな生活を送るが、徐々に彼は、シホ子の首がいつか現れるという考えにとり憑かれるようになり…」
・「谷間のゆり」(1973年「女性セブン」掲載)
「ある会社のオフィス・レディ。
彼女は器量がよくなく、陰気なため、全く存在感がなかった。
そんな彼女でも想いを寄せる相手がいた。
相手は隣のビルで働いている、かなりムサめの男性で、顔はイマイチだが、控えめで誠実な人物だった。
彼女は彼の姿を見つめるだけで満足していたが、彼は美しい女性と付き合い始める。
不幸のどん底に落ちた彼女はある決意をするのだが…」
2024年10月22日 ページ作成・執筆