井出智香恵・稲垣みさお・他「実話投稿 実際にあった霊体験」(2007年6月10日発行)
収録作品
・井出智香恵「惨の川」
「年下かつ未成年の青年、桑野忠夫と、山奥にある彼の故郷に、結婚の許しを得るために訪れたOL、堺玲子。
彼女は、初めて来たところなのに、見覚えがあるような既視感に襲われる。
また、そこに流れる川面に、身体に幾つも矢を射立てられた女性の姿を見る。
忠夫の実家では、彼の母にあっさり結婚を認められ、玲子は拍子抜け。しかも、忠夫の母も、忠夫も、なるべく早く子供が欲しいらしい。
そこで明らかになる、桑野家を代々苦しめた怨念の正体とは…?」
・天草あむ「チカン幽霊よ こんにちは」
「趣味は世界中の呪いを調べることである、自称まじめな男子中学生、浦見つらみ。
席替えで、彼が移動した席は、彼の前にその席に座っていた女子がチカン幽霊の被害にあっていたという席だった。
何の因果か、男の自分まで触られたことにキレた、浦見つらみはチカン幽霊に呪いをかける…」
・天草あむ「眠れない日々を貴方に…」
「クラスの男子がここのところ憔悴している。
原因は、何者かの仕業で、授業中居眠りができず、睡眠不足らしい。
自分のためにしか力を使わないと豪語する浦見つらみだったが、遂に自分も授業中の居眠りを妨害され、その謎の妨害者に呪いをかける…」
・稲垣みさお「アマネ 呪殺死体」
「死体処理請負人であるアマネは、依頼を受け、山奥の小屋に行く。
小屋に入り、死体の処理をしようとしたところ、その死体は全てゾンビだった。
ゾンビになりたての少女の魂だけを抜いて、アマネは小屋を脱出。
事務所に帰り、幽霊少女から事情を聞きだすと、父親が建設関係の仕事をしており、そこで何らかのトラブルが起こったらしい。
が、まずは、幽霊少女の妹が呪いをかけられていて、それを先に解くこととなる…」
何故この本に「死体処理請負人アマネ」の一エピソードが捩じ込まれているのか、イマイチ定かではありません。設定の説明もなしに目の前にぽんと放り出されても困るんですが…。
とは言え、「死体処理請負人アマネ」は非常に面白いマンガですので(単行本が入手しにくいのが難ですが)機会があれば読んでみてください。
一日も早く、完全版が出ることを望んでおります。
・川中島みゆき「磯おんなの招く夜」
「バツイチの男性と結婚した女性。
女性は海のそばにある邸へとやって来るが、結構早々、旦那は出張。邸の中は女中と二人きり。
最初の夜から、気味の悪い出来事が立て続けに起こる。
海で事故死という前妻の仕業なのだろうか…」
・井出智香恵「カオスの封印」
「父の死により、十数年ぶりに母の故郷に帰ってきた荻野一家(母親、兄の志郎と妹の由布子の三人)。
母親は何故か産まれた時から由布子に冷たく、由布子は兄志郎への想いだけを心の支えに今まで生きてきた。
故郷の町で、大きな洋館を見た時、由布子は既視感に襲われる。
その洋館は、火緒加(ひおか)館と呼ばれ、母親と兄妹が住んでいるという。
火緒加一族はこのあたりでは由緒ある家柄であったが、鬼が棲むと噂され、近寄る人はいなかった。
学校でも孤立している火緒加まゆみに、荻野由布子は手を差し伸べ、二人は仲良くなる。
だが、霊能学者の老人が人体を粉砕されるという怪事件が起こり、火緒加一族への疑惑が増す。
また、この事件に乗じて、火緒加館を狙っていた悪徳不動産業者が火緒加の兄妹を襲おうと画策。
休日、兄と共に、火緒加館を訪れた由布子は、庭の隅にあるゴムの壁でできた小屋から呼ばれているように感じる。
稔はここに彼の母親が住んでいると説明するが、彼は由布子についてもっと深く何かを知っている様子であった。
由布子に秘められた「カオスの封印」とは…?
惨劇の中、由布子の出生の秘密が明らかになる…」
かなり古いマンガです。講談社の怪奇ロマンコミックで出された「カオスの封印」(1988年8月12日発行)からの再録です。
タイトルには「実話投稿 実際にあった霊体験」と銘打ってありますが、それっぽいのは最初の方の心霊写真鑑定だけで、後は全て、過去の作品の再掲載であります。
でも、似たり寄ったりの読者の心霊体験談をくどくど読まされるよりも、個人的には創作ものの方が遥かにありがたいです。
また、なかなかお目にかからない、井出智香恵先生や川中島みゆき先生の怪奇マンガを掲載しております。選択のチョイスが渋いですね。
2015年2月12日 ページ作成・執筆
2017年11月10日 加筆訂正