つのだじろう「怖いっ…つのだ」(2002年7月30日初版発行)

 収録作品

・「星と太陽と死神」(「プレイコミック」掲載「女シリーズ」第43話)
「車販売会社のやり手社員&プレイボーイの進藤は、あるクラブでミステリアスな女性と出会う。
 うまく口説いたつもりだったが、彼女に軽くあしらわれ、アッシーまでさせられる始末。
 別れ際、彼女は「スフィンクスの椅子に座るのは誰?」と謎かけをし、奇妙なカードの残して去る。
 そのカードは「タロックカード」で、カードのうち、何枚かにスフィンクスが描かれているらしい。
 謎は解けないまま、彼はクラブで彼女と再会し、彼女を抱く。
 ベッドでの彼女は情熱的ではあったが、彼に謎を解くよう釘を刺すことを忘れなかった。
 彼女と付き合ううちに、進藤は彼女に夢中になっていくが、彼女の正体はさっぱりわからない。
 そんな時、彼はテレビで、ジプシー占いで有名になった「ジプシー小清水」という女占い師を目にするのだが…」

・「デスマスクの旋律」(「週刊少年キング」連載。掲載年月日不詳)
「西神史郎はロック好きな高校生。
 彼はレコード店でメタルテープを買った際、くじ引きで、睡眠薬中毒で死んだロックスター、デミ・アンドリックスのデスマスクを手に入れる。
 彼は深夜放送のロック・ミュージック(ジャニス・ジョプリンやドアーズ等)をカセットテープに編集録音する。
 だが、ジャニス・ジョプリンとブライアン・ジョーンズの間に、「耳ざわりの悪い不気味な曲」が入っている。
 しかも、その曲を聴く度に、女子高生の姿が現れ、何らかの事故にあう。
 その女子高生は、同じ進学塾に通う春木桜子であった。
 彼は桜子に事情を聞こうとするが、その音楽は彼以外には聞こえず、完全にヘンタイ扱い。
 結局、彼女に聞くこともできなくなり、彼は、彼女に病歴があるのではないかと考える。
 彼は病院を回るうちに、恐ろしい事実に行き当たるのだが…。
 この曲の正体は…?」

・「ホラー・ペンション」(「月刊ハロウィン」1987年2月号)
「星篠高校のオカルト研究会の三人、川島千鶴、伏見あや、田上佳代。
 彼女達は白滝高原にある「ホラーペンション」を訪れる。
 このペンションはオーナーがオカルト好きで、様々な仕掛けを施し、恐怖体験ができるという噂であった。
 三人が着いた時、ペンションでは男性の自殺があり、警察が捜査していた。
 しかも、今月に入って、三件目だという。
 宿泊客は彼女達だけで、それぞれ個室をあてがわれる。
 ペンションは実に普通のものであったが、オーナーによると、この土地は戦国時代に大きな合戦があった土地だと霊能者に言われたという。
 「ホラーペンション」で彼女達が体験する「本当の恐怖」とは…?」

 トキワ荘出身の大物漫画家でありながら、クセの強い絵柄と「オカルト漫画家」というレッテルのせいか、読む人が限定されている気のする、つのだじろう先生。
 でも、長い期間、第一線で現役だっただけでなく、「オカルト漫画」というジャンルを確立した実力者でありますので、作品は非常に良質です。
 「つのだじろう自選集@」のコンビニ本は、先生のキャリアの中でも、トップクラスの出来の怪奇マンガの短編が収録されており、その実力を堪能することができます。
 個人的には、「デスマスクの旋律」が、1960年代後半のロックが大好きなので、印象に残りました。
 都市伝説を巧みに用い、また、強烈なバッド・テイストも盛り込んで、面白いです。
 また、巻末の「著者自解」で、作中の楽譜は、実弟のつのだたかし氏だそうな。

・備考
 巻末の2ページ、折れあり。

2021年11月7・8日 ページ作成・執筆

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