山口敏太郎・監修「奇妙なウワサ怖い話〜逃げてもムダよ〜」
(2005年9月10日初版第1刷発行)

 収録作品

・河村万里「逃げてもムダよ」
「藤木は就職して、すぐに大阪に転勤となる。
 東京者の彼としては大阪はセンスが悪く感じ、なかなか溶け込めずにいた。
 ある夜、彼が帰宅すると、携帯電話が鳴る。
 相手はミサと名乗る女性で、間違い電話であったが、久々に聞く標準語が懐かしく、彼は彼女と話をする。
 以来、彼は彼女と電話でやり取りをするようになり、その間は慣れない土地での寂しさを忘れることができた。
 だが、次第に大阪での環境にもなれ、友人や恋人もできるようになると、ミサとの関係が鬱陶しくなってくる。
 彼は携帯電話を変え、彼女との関係を断つのだが…」

・こきま大「首なし霊団」
「一代で会社を大きくしたワンマン社長。
 彼は都内に自宅を建てるため、候補地をピックアップすると、破格の値段の物件があった。
 これは元々墓地で骨も出るというので、安かったのだが、社長は幽霊など信じず、家族の反対を押し切って、その土地に家を建てる。
 家族で住み始めると、早速異変が起き、妻と娘は社長に訴える。
 しかし、彼は耳を貸さず…」

・竹内ユキ「成長する」
「80歳を超える年齢の老婆、ヨシさん。
 主人が亡くなってから、彼女は徐々に若返って見えるようになる。
 曲がっていた腰はまっすぐになり、お肌もツヤツヤ。
 ある日、笹本という主婦が回覧板を届けにヨシさんの家に行く。
 うまく中に上がり込んだ彼女がヨシさんにキレイでいられる秘密を尋ねると…」

・山口敏太郎「都市伝説物語」(コラム)
「感動するウワサ〜ペットにまつわる不思議な話!!」

・琴川彩「夫を解体しています」
「若い男女が二組、山にトレッキングに出かける。
 途中、彼らは奇妙な中年女を目にする。
 彼女は祠の前に座り込み、独り言を呟いていた。
 お節介なバカ娘は中年女を放っておけず、声をかける。
 すると、中年女は夫を解体していると答え、血の滴る肉の塊を手にしていた。
 彼らは麓に逃げ帰り、後日、中年女の噂を聞く。
 中年女は事故で夫と娘を亡くしてから、おかしくなったらしい。
 ただ、お節介なバカ娘には引っかかることが…」

・光永健一「タクシー」
「東京。午前二時。
 若い女性がタクシーを止め、青井山墓地までとお願いする。
 タクシーの運転手は顔色を変えるが、実は女性の家が青井山墓地の近くにあるのであった。
 運転手は安心し、彼が先日、青井山墓地まで女性の幽霊を乗せて行った話を始める。
 結局、到着するまで運転手はいろいろな怪談をするのだが…」

・風忍&ダイナミック・プロ「映画俳優、死のウワサ」
「今日の格闘技ブームを作り出したと言っても過言でないアクション俳優、B・L。
 死して尚その人気は衰えないが、その死には多くの謎がある。
 様々な噂が囁かれており、その中で「華僑の大物説」、「チャイニーズ・マフィア説」、「ハリウッドでの白人至上主義説」を紹介する…」

・山口敏太郎「都市伝説物語」(コラム)
「犯罪・事故現場と伝説・伝承の因果関係」

・河原達弘「青木ヶ原の変死体」
「小池玲子という少女は腎臓の病気で入院していた。
 彼女の家は金持ちで、そのせいか、腎臓移植手術を受けることとなる。
 手術は無事に成功し、玲子は順調に回復するも、以前とは少し人が変わっていた。
 退院後の夏休み、彼女は友人たちと共に別荘に向かう。
 だが、車は別の方向に進み、事故を起こすが、そこは青木ヶ原樹海であった…」

・サワベキョウコ「冷蔵庫に棲む人」
「中学生の悟は東京から生まれ故郷の田舎町に戻って来る。
 彼はこの町に来てから、忘れてきた記憶を思い出しそうな感覚につきまとわれていた。
 フラフラと町を歩いていた彼はある原っぱの前で立ち止まる。
 この原っぱには古い冷蔵庫があり、八年前、子供だった彼はその中に閉じ込められた。
 行方不明になって三日後、彼は発見される。
 行方不明の間の記憶は失われていたのだが…」

・鷲塚三房「写メールに写るもの」
「Sは東京の大学に通う娘さん。
 彼女の実家はその地方では有名な旧家で、屋敷は渓流の絶壁の上に立っていた。
 崖側には高い塀がかけられており、亡くなった祖母は幼い彼女に塀の向こうを絶対に覗かないよう注意していた。
 ある夏、彼女は実家に帰省する。
 夜、彼女は重たいものを引きずるような音で目を覚まし、うるさくて眠れない。
 庭に出てみると、音は塀の向こうから聞こえてくるのだが…」

・山口敏太郎「都市伝説物語」(コラム)
「小説は災害・事件を予言する」

・津上柊子「船幽霊」
「昭和初期。
 ある夜、一人の漁師が漁に出て、あまり成果の出ないまま、帰路に就く。
 すると、どこかから「お〜い」と呼ぶ声が聞こえ、海面に明かりが見える。
 トラブルでもあったのかと思い、彼がその明かりの方に向かうと、焦げ臭い臭いが鼻を突く。
 彼を呼んでいたのは…」

・青沼涼子「つぶつぶオレンジ」
「若い男女五人が山奥でキャンプをする。
 川の水はきれいで、濃縮オレンジジュースを川の水で割って飲むと、つぶ入りであった。
 その夜、テントの周りを歩く何者かがいる。
 そっと外を覗くと、それは腐乱した死体であった。
 翌朝にはそいつは消えるのだが…」

 山口敏太郎氏が監修ということで、都市伝説をもとにしたショート怪談が11編収録されております。
 その中でも、やはり、風忍先生の作品が一際異彩を放っております。(ブルース・リー、好きなんですね。)
 ただ、個人的には、山口敏太郎氏のコラムの方が漫画作品よりも面白かったです。
 話題の豊富さと内容の濃さに魅せられます。

2024年8月10・11日 ページ作成・執筆

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