「ホラーグルメ創刊号」(2014年5月5日初版・8月16日第2版発行)

 収録作品

・かずはしとも「不老不死の実」
「雪山の奥深く、二人の武士が雪原を歩んでいた。
 彼らの目的は、太閤殿下のために、「非時香果(トキジクノカク)の実」を手に入れること。
 「非時香果の実」は古代の書物に出てくる、不老不死の実で、その木は一年中緑の葉が茂り、冬でも実をつけると言われる。
 二人が洞窟で休んでいる時、どこからか清々しい香気が漂ってくる。
 その方角に向かうと…」

・稲垣みさお「猟奇伝説アルカード」
「アルカードのもとを訪れたのは、人殺しが趣味というシリアル・キラー。
 彼の望みは「死を経験」することであった。
 アルカードは「快楽」と引き換えに、彼の望みを叶えるのだが…」

・有田景「蜜子」
「あるイケメンの青年。
 彼は恋人になる娘には「お菓子は食べないでくれ」と警告していた。
 蜜子の呪いとは…?」

・きもとのりこ「死の味はどんなかしら?」
「山口涼香は今風な女子大生。  ある日、友人達と町を歩いていると、見知らぬ娘に話しかけられる。
 娘は山口が高校の時、いじめていた町屋であった。
 町屋は飛び降りた時の傷痕を見せるが、山口は人違いと否定する。
 そんな彼女に町屋は、「あなたの死の味はどんなかしら」という言葉をお返しすると言って立ち去る。
 涼香は、過去のことを言ってくる人間は気持ち悪いと町屋に責任を転嫁し、自分は幸せな人生を送ろうとするのだが…」

・白井幸子「へぐいさま」
「敦彦は都内の編集プロダクションのライター。
 怪談本のネタを募集した際、彼は井沢ナミという若い女性から手紙をもらい、彼女から直々に話を聞く。
 弘前出身の彼女は子供の頃、田舎の山で迷い、何時間も歩いた頃、山奥に一軒の家を見つける。
 家からは炊事の煙が上がっており、中に入るが、誰もいない。
 台所に一膳の白米と汁が用意してあるが、勝手に食べる訳にもいかず、家の人が帰ってくるまで待っていると、どこからか視線を感じ、「あのわらしなしてくいへいの」という声が聞こえる。
 彼女は急に怖くなって、家から逃げ出し、後に救助隊に助けられる。
 祖母にこの話をすると、祖母はあの家には自分達とは違う生き物が住んでいて、そこの食べ物を口にすると、帰れなくなると彼女の無事を喜んだのであった。
 ナミの話を聞いて、敦彦は祖父から聞いた話と類似点に驚くのだが…」

・七色虹子「死んだはずだよお母さん!」
「正樹は幼い頃に父親を亡くし、母親も昨年、脳梗塞で急死する。
 彼は母親の遺影の前で食事をしていたが、ある日突然、母親の幽霊が現れる。
 母親は彼が悲しんでいるために成仏できず、幽霊として現れたのを幸い、あれこれと彼の世話を焼き始め…」

 六人の女性漫画家さんによるホラー漫画・同人誌です。
 もとはクラウド・ファウンディングで企画されたもので、まあまあの成功を収めた模様です。(情報弱者の私は全く気付きませんでしたが…。)
 創刊号はどの漫画家さんの作品も力が入っておりますが、でも、やっぱり、一作品につき10ページ程度しかないのには物足りさを覚えます。
 まあ、そこはショート・ホラーならではの切れ味で勝負。
 中でも、白井幸子先生「へぐいさま」はうまくまとまっているだけでなく、いろいろと想像を広げる余地がある作品で、個人的ベストです。
 きもとのりこ先生「死の味はどんなかしら?」も深い味わいです。(ホラーとは若干、いいにくいかも…。)

2023年5月7日 ページ作成・執筆

同人誌・リストに戻る

メインページに戻る