千之ナイフ「桃麻呂キタン」(発行年月日不明)
桃麻呂は桃太郎の子孫。
彼は犬・猿・雉の式神を使うことができた。
旅の途中、彼は行く先々で妖怪と遭遇し…。
・「首館」
「桃麻呂は道に迷い、廃線のトンネルで一夜を過ごそうとする。
そこに美しい娘が現れ、ここは幽霊列車が通り危険なので、彼を自分の屋敷へと招く。
邸は非常に豪壮で、母娘の二人暮らしであった。
夜中、桃麻呂は悲鳴で目を覚ます。
悲鳴は塔の上部から聞こえてきて、桃麻呂は猿の式神に様子を見に行かせる。
塔の最上階にはあの母娘の首が女性を殺し、その肉を貪り喰っていた。
桃麻呂は母娘が轆轤首(ろくろくび)だと気づくが、轆轤首の退治方法とは…」
・「屍城の魔術師」
「旅の途中、桃麻呂は「ドロリ」という名の猫と出会う。
ドロリは洋服を身に付け、人語を解する化け猫(?)であった。
ドロリはこの先には「屍の里」があるので、行かないよう桃麻呂に警告する。
桃麻呂は無視して進むが、突如、刃物を持った骸骨が襲いかかってくる。
骸骨は死人のため、死ぬことがなく、桃麻呂は逃げようとして、墓場のど真ん中に来てしまう。
その近くには立派な城が建っていた。
どうやら死者たちが城の焼け跡に作ったものらしい。
この城では天草死郎が黒魔術でメラ姫を復活させようとしていた…」
・「からくり姫」
「嵐の夜、桃麻呂とドロリは山奥で屋敷を見つける。
屋敷は吊り橋の向こうの崖のすぐそばに建っていた。
中に入ると、人の姿はなく、着物姿の娘の人形が一体のみ。
ここには過去、人形師が住んでおり、彼の遺書によると、娘がこの屋敷を守っているらしい。
その夜、桃麻呂とドロリが寝ていると、部屋の外に何ものかがやって来る。
人形師の娘の正体とは…?」
・「大堕羅法師」
「桃麻呂とドロリは「魔の川」をいかだで下る途中で遭難。
桃麻呂が目を覚ますと、そこは寺院であった。
この寺院では山の守り神である大堕羅法師(だいだらぼっち)を信仰しており、今日はその大堕羅法師が山から降りてくる日であるため、桃麻呂は監禁されてしまう。
犬の式神を使い、外の様子を見ると、別の建物に三人の娘が閉じ込められていた。
彼女たちは大堕羅法師のいけにえで、このままでは生きたまま、食べられてしまう。
桃麻呂は彼女たちを逃がすも、その代わりに彼がいけにえにされてしまい…」
「桃麻呂キタン」は「ザ・ホラー」(角川書店)にて2012年4月号〜12月号に掲載された作品です。(全作品が収録されているのかどうかは不明です。)
小中学生の読者層向けのため、非常にライトな仕上がりで、サクサク読み進めることができます。
千之ナイフ先生も楽しんで描かれたようですが、雑誌の休刊により未完となりました。
ともあれ、単行本化していただき、ありがたいことであります。
しかも、全ページ・フルカラーで、千之ナイフ先生の美麗な絵を堪能することができます。
特に、桃麻呂の赤い腹かけ・ルックには要チェック!!(注1)
・注1
ちなみに、個人的に腹かけと言えば、「千と千尋の神隠し」です。
2024年8月23・24日 ページ作成・執筆