千之ナイフ「人形姫」(2017年11月11日発行)

「斉木弥沙は身寄りのない少女。
 彼女はアルバイト先のレストランで見知らぬ中年女性に声をかけられる。
 中年女性は灰崎園子と名乗り、彼女は高級料亭で弥沙に縁談の話を持ちかける。
 相手は冥王家の当主、冥王龍久。
 冥王家はある地方一帯を治めていた家系で、今ではその地方の神事を司る神官の役目を担っているという。
 また、莫大な財産だけでなく、当主の龍久はかなりのイケメンであった。
 とりあえず、会ってみるだけでも、と言われ、弥沙は冥王家の邸に連れて来られる。
 冥王家では財産目当ての結婚を避けるため、あえて身寄りのない娘を選ぶ習わしで、弥沙の他にも二人、花嫁候補がいた。
 一人は根垣静音で、黒髪で神経質な娘。
 もう一人は池場舞というギャルで、花嫁に選ばれようと張り切っていた。
 三人は龍久と会うも、彼の横には女性の人形が置かれる。
 それは「人形姫」というもので、冥王家に代々伝わる神事のためのご神体らしい。
 三人は邸で数日、自由に過ごすこととなるも、翌日、根垣静音が消える。
 灰崎は彼女は急用で帰ったと説明するが、ドアの前に血痕が落ちていた。
 舞は協力的でなく、弥沙が一人で静音を捜していると、近づいてはいけないと言われた神殿の近くにまで来てしまう。
 そこには「人形姫」を乗せた車椅子を押す少年の姿があった。
 少年の名は妖介で、彼は冥王家の人間でなく、幼い頃、引き取られたという。
 彼は何かを胸に秘めているようだが、決して明かそうとはしない。
 彼と別れた後、弥沙は近くの部屋で龍久が人形姫に話しかけているのを目撃する。
 人形姫の中には誰かが入っており、それは弥沙たちをひそかに見つめていた者だと弥沙は直感する。
 弥沙は池場舞にそのことを話し、邸から逃げようとするのだが…」

 「週刊女性自身」2011年6月21日号〜8月9日号にて掲載された作品です。
 女性週刊誌に掲載されたためなのか、ショック描写よりも雰囲気に重点を置いておいているようで、ちょっぴり妖艶なストーリーとなかなかのマッチングを見せます。
 また、単行本化の際に全ページ・フルカラーに着色されておりますが、暗い色をベースにして、雰囲気を盛り上げているのも嬉しいところです。
 千之ナイフ先生のファンの方は言わずもがな、怪奇マンガ好きは読まれて、絶対に損はないと思います。

2024年9月20・21日 ページ作成・執筆

同人誌・リストに戻る

メインページに戻る