好美のぼる「にくしみ」(2004年7月15日初版発行)
「東京都K市の私立ときわ学園。
そこへ全国規模のデパートの社長の娘、谷村ユリが転校してくる。
一見したところ、普通の少女であったが、ユリが行く学校ではトラブルが多発していた。
だが、彼女は本当は幸子という名で、本物の谷村ユリは邸の地下室に住んでいた。
ユリはセムシで右目の周囲はイボまみれという醜い姿で、彼女を恥じた両親により地下室に閉じ込められていたのである。
当然ながら、性根はねじ曲がり、彼女は醜い動物を、自分よりも醜いという理由で愛する。
また、美しい者を憎み、その俗悪な本性を露わにするためには、手段を選ばない。
ユリの暗躍により、ときわ学園では奇怪な事件が連発。
事件は幸子の仕業と囁かれ、彼女は苦悩する…」
好美のぼる先生の代表作の一つです。
「UA!ライブラリー」にて復刻され、安価かつ容易に読むことができますので、欄外の突っ込みが気にならない方は読んでみたら如何でしょうか?(曙コミックスの方はプレミアついてます。)
かなりメチャクチャな内容で、読者は十中八九、あきれ果ててしまうでしょうが、理屈じゃないんです!!(by 刑事ハマー)
ここまでパワフルで圧倒的なゲテゲテ描写はなかなかお目にかかれるものではありません。
この作品では、良識はわきに置いて、セムシ少女のひん曲がった根性の巻き起こすトラブルとその行く末を味わい、楽しむべきでありましょう。
んにしても、この作品は週刊少女漫画雑誌に連載され、何らかの賞を受けたとのことですが、何ともおおらかな話であります。
巻末には、山田誠二氏「゛にくしみ″を空に流して 〜好美作品の思想〜」が掲載されております。
読み応えのある文章で、人を小ばかにしたところがなく、好感を持ちました。
2018年4月28日 ページ作成・執筆