日野日出志「あしたの地獄」(2021年5月4日発行)

 収録作品

・「明日の地獄」
「プロローグ」(「少年画報」1970年24号)
 その時、空に七色の閃光が光り、地上は一瞬で地獄と化した。
 生き残った人々は群れをなし、無気力な行進を始める…。
「第一部」(「少年画報」1970年25号)
 地獄と化した地上。
 皮肉なことに、地下の死刑囚達は無事で、地上に這い出てくる。
 彼らは自衛隊の基地から武器弾薬や戦車を調達し…。
「第二部」(「少年画報」1971年1号)
 共食いをして命をつなぐ被爆者達。
 死刑囚達は彼らを蹂躙し、虐殺していく。
 だが、戦車やジープのガソリンが切れた時から、彼らも当てもなくさすらう身となる…。
「第三部」(「少年画報」1971年5号)
 灼熱の太陽の下、死刑囚達も一人また一人と倒れていく。
 絶望的な彷徨の果てに…。

・「大戦争時代」(「少年キングオリジナル増刊」1975年9月28日号)
「ずるチン坊やはびっくりするような一物をぶら下げていた(皮かぶりだけど)。
 坊やの祖母は「町内ばばあ連合」の一員で、ずるチン坊やにヒワイないたずらをいつも仕掛ける。
 頭にきたずるチン坊やは「町内ガキ連合」を結成し、「町内ばばあ連合」と対決するのだが…」

・「野球狂時代」(「少年キングオリジナル増刊」1975年11月23日号)
「川土手で暮らす、三人の乞食。
 元・人巨軍監督の嶋長、玉、元・助っ人外人のソンジョン。
 三人は橋の上で争う人々の仲裁に入る。
 川を挟んで、巨人町と阪神町があり、二つの町は互いにいがみ合っていた。
 嶋長は野球チームを作って、スポーツ精神でいくよう助言。
 町の人々はこの意見に賛同し、早速、特訓を開始する。
 三人は巨人軍の長嶋・王・ジョンソンと勘違いされていることを利用して、金儲けを企むのだが…」

・「発明狂時代」(「少年キングオリジナル増刊」1976年2月29日号)
「〇×小学校6年1組に転入してきた日の本ピカ一。
 そのクラスには志五木又一という恐ろしい先生が担任であったが、さすがの志五木もピカ一の変人ぶりにはかなわない。
 なりゆきから、志五木はピカ一の父親である日の本天才と会う。
 日の本天才は「日本の発明王」らしいのだが…」

 日野日出志先生の伝説的な作品「あしたの地獄」。
 期待して読んだら、「核戦争後の荒廃した世界を、死刑囚達がウロウロするだけ」という内容でのけぞりました。
 個人的には、凄いことをやろうと意気込んだけど、アイデアが膨らまなかった…という印象を受けました。
 それよりも、併録の「大戦争時代」「野球狂時代」「発明狂時代」といった単行本未収録作品の方が遥かに面白かったです。
 本気でノ〜ミソが腐って耳からしたたりそうな内容で、このレベルに達した作品って実はあまりないのでは?(誉め言葉…ではありません。)
 「ギャグ漫画家」としての日野日出志先生、これから研究されるべきかもしれませんね。(注1)

・注1
 うのせけんいち先生を先取りしているかも…。(あくまで個人の感想です。)

2022年9月25日 ページ作成・執筆加

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