飯島市朗「ブラックパンチ全集・下巻 恐怖の乳房」(2020年8月15日初版発行)

 収録作品

・「狼の棲む館」(「ブラックパンチ」1971年11月号掲載)
「高級住宅地。
 今、その中の一軒で、妾から本妻となった女性が、先妻の娘、陽子を扼殺していた。
 女は、この日のために、狼を飢えさせ、陽子の死体を狼に与える。
 その全てを、隣に住む少年、光夫は目撃していた。
 彼が家に戻り、両親に全てを打ち明ける。
 しかし、両親は、陽子は異常者に殺されたと、彼の話に全く耳を傾けてくれない。
 そこで、彼は…」

・「宇宙人樹精妖女」(「ブラックパンチ」1971年12月号掲載)
「21世紀後半。
 六人の男達が小型ロケットで銀河系一周を企てた際、ある惑星で金鉱を発見する。
 男達の中の山野部兄弟は仲間を裏切り、積めるだけの金を宇宙船に積み、惑星から脱出。
 残りの四人はこのままでは餓死するしかなく、惑星を探検する。
 すると、彼らは、女性のような形をした植物を発見する。
 その植物は食べられ、更に、セックスまで可能。
 その24時間後には、植物は子供のような植物を産む。
 更に、子供の植物は、乳を飲み干した後、親植物を食べて、成長する。
 これを見た男はある復讐方法を思いつくのだが…」

・「宇宙人の遺物」(「ブラックパンチ」1972年1月号掲載)
「1972年、k市の崖の下から、百万年前のものと思しき宇宙船が発掘される。
 考古学者が宇宙船のサイズから宇宙人を推測したところ、身長は一メートル程度。
 更に、この宇宙船には動力部分がなかった。
 この宇宙人はどのようなものだったのだろうか…?」

・「妖刀美女狩りの怪」(「ブラックパンチ」1972年2月号掲載)
「江戸時代。
 美女を襲っては、さらし首にするだけでなく、その皮までも剥ぐという猟奇的な連続殺人事件が起きる。
 犯人は、白い仮面をつけた人物だが、その正体とは…?」

・「ロボット王国の人間たち」(「ブラックパンチ」1972年3月号掲載)
「山本由紀夫と久美の夫婦。
 彼らは家で人間の男女を飼っていた。
 ある日、由紀夫は腹の調子が悪くて、病院に行く。
 手術の後、医者に病名を尋ねると、「ナンセンス病」、昔風に言うと「盲腸」というやつであった。
 これは「行動をおこすときにはまったくなんの役にもたって」いないものらしいが…」

・「宇宙の孤独者たち」(「ブラックパンチ」1972年4月号掲載)
「ある惑星に不時着した宇宙船。
 乗組員は、二人の男女のみ。
 宇宙食が尽き、二人は食料と水を捜しに出る。
 すると、岩の裂け目から水が出ており、水たまりには亀が住んでいた。
 この場所で二人は命をつなぐが、水は枯れ、亀は取れなくなる。
 二人は衰弱していき、先に男が力尽きる。
 彼が女性に「ぼくが死んだら、キミは泣くかい?」と尋ねると…」

・「興味なき地球人」(「ブラックパンチ」1972年5月号掲載)
「東京T大細胞科学研究所。
 大阪博士と助手の梅田は、交通事故で即死した男性の死体を使い、コンピューター頭脳の実験を行おうとしていた。
 この実験の目的は、人工頭脳が、身体の細胞に命令をして、破壊された細胞を復帰させることであった。
 実験は成功するも、人工頭脳には感情がなく、これでは生き返ったとは言えない。
 そこで、助手の梅田がある提案をする。
 彼は、宇宙学者が想像する高等な宇宙人の肉体構成や細胞の仕組みを記憶したカセットを持ってきていた。
 それを、人工頭脳にセットすると…」

・「地球人以外の文化人」(「ブラックパンチ」1972年6月号掲載)
「人間解放のために戦う運動家たち。
 だが、アジトを急襲され、命からがら、四人の男女が洞窟へと逃げ込む。
 彼らが戦っている相手とは…?」

・「恐怖の乳房」(「ブラックパンチ」1972年8月号掲載)
「男が顔の下半分を食いちぎられて殺される事件が連続して起こる。
 この事件に関わる美女、墨絵田奇子(32歳)の秘密とは…?」

 「宇宙人樹精妖女」「興味なき地球人」が、奇想天外なラストで、傑出しているように思います。
 特に、「興味なき地球人」は、専門的な知識、深遠かつシニカルなストーリー、そして、ゲテモノ漫画が奇跡の融合をしており、何とも形容しがたい読後感を残します。

2023年1月11日/2月12日 ページ作成・執筆

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