橋本将次「幽霊患者/双頭蜘蛛吉」(2016年8月5日発行)

 収録作品

・「幽霊患者」
「精神病院から脱走した凶悪患者、吸太郎。
 目はとび出し、奇怪極まる容貌の彼の目的は、元・憲兵だった太田、竹中、橋爪の三人を殺すことであった。
 太平洋戦争末期、米国人の父を持つ吸太郎とその母はスパイの疑いで憲兵隊支所に連行された。
 そこで、球太郎は憲兵達に「トラワ」という毒草を飲まされ、その副作用で世にも恐ろしい姿へと変貌。
 母親も拷問で死に、戦後、精神病院に収容された吸太郎は、16年の間、当時の憲兵達に復讐すべく、機会を窺っていたのであった。
 手始めに、吸太郎は太田を惨殺し、死体を油で煮る。
 その最中、通報で集まった警官隊により、吸太郎は再び精神病院に収容され、そこで毒を盛られる。
 だが、その遺体が解剖に付された時、吸太郎は蘇生し、病院から逃走する。
 逃げ込んだ先の、新興宗教の誇大迷想教の教祖に匿われ、吸太郎は残りの二人の命をつけ狙う…」

・「双頭蜘蛛吉」
「九州のある地方。
 ドカチンの金子と滝口は工事中に巻物の入った壷を見つける。
 巻物には、島原の乱の後、隠れキリシタンが九重山の幽林庵に黄金のキリスト像を隠した旨、記載されていた。
 二人は、一攫千金のチャンスと、九重山の奥に向かう。
 どうにか辿り着いた幽林庵には、隠れキリシタンの末裔が、黄金のキリスト像をいまだ守り続けていた。
 彼らは度重なる同族婚のために、その容姿は異形の者へと変わり果てていた。
 金子と滝口は礼拝中の彼らを惨殺して、キリスト像を強奪。
 三年後、一族の唯一の生き残り、双頭蜘蛛吉が二人への復讐を開始する…」

 これはヒドいです!!
 カタルシス皆無、悪趣味の極み、良俗など鼻にもかけない無軌道ぶり…でも、心に焼きつくような何かがあるんです!!
 兎月書房には途方もなく熱心かつマニアックなファンの方が多数おられる模様ですが、それも納得の出来であります。

2018年5月8・11日 ページ作成・執筆

アンソロジー/復刻作品・リストに戻る

メインページに戻る