島根けんじ「墓石の下/夢遊少女」(2024年10月19日発行)

 収録作品

・「夢遊少女」
「妙子は両親を亡くし、母の妹である叔母夫婦に引き取られる。
 叔母夫婦には源二と魔子の兄妹がいた。
 妙子は叔母一家と仲良くやっていたが、半年が過ぎる頃、おかしなことが起きるようになる。
 廊下に何者かの足跡がついており、また、妙子はやけにやつれている。
 ある夜、源二は妙子が外に出て行くところを目にする。
 気になって後をつけると、妙子が向かったのは墓場であった。
 彼女は死体を掘り出すと、石で死者の頭を叩き割り、脳みそを食べる。
 源二が悲鳴を上げると、妙子は彼に詰め寄り、このことを誰にも言わないよう約束させる。
 源二は秘密にしていたが、恐怖が募りに募り、遂には発狂する。
 魔子は源二のうわ言を聞き、妙子が夢遊病にかかっていることを知る。
 その夜、彼女は妙子が墓場に行くことを確認し、両親と共に墓場に駆けつける。
 しかし、墓場にいたのは源二であった。
 彼が掘り出した棺桶を開けると、中からミイラのように干からびた男が現れる。
 叔母夫婦と魔子は源二を家に連れ帰って相談していると、墓場のミイラ男が家にやって来て、水を飲ましてくれと頼む。
 魔子たちが慄きながら、ミイラ男の様子を見ていると、奥から悲鳴が…。
 妙子の運命は…?
 そして、ミイラ男の正体は…?」

「墓石の下」

 「夜泣き怪木/恐沼」に続く、島根けんじ先生の若木書房での貸本の復刻です。
 「夢遊少女」は夢遊病をテーマにしたサスペンス・ホラー、「墓石の下」は「死後の世界」をテーマにしたオカルト・ファンタジーで、どちらも奇妙な雰囲気が横溢していて、島根ワールドにどっぷり浸れます。
 個人的には、「夢遊少女」のあまりにもあんまりな内容に絶句いたしました。
 あれだけ猟奇的&アンモラルなストーリーなのに、ラスト、ぬけぬけとハッピーエンドを迎えて、のけぞりました。
 といった感じで、怒涛のご都合主義ではあるものの、そんなことは些細なことで、ヒロインの妙子さんがいれば、とりあえずOK。
 本作では基本は可憐なのに、夢遊状態になるとカリガリ博士も裸足で逃げ出すほど狂暴で、そのギャップがまた萌え(?)です。
 貸本で入手しようと思ったら、一冊五万円は下らないと思いますので、気になる方は復刻本で妙子さんの暴れっぷりをチェックしてみてください。
 付録ペーパーには福井宏明氏による「水木病患者からみる佐々岡健次(島根けんじ)」が掲載されております。

2025年1月21日 ページ作成・執筆

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