池川伸治「きちがい料理/カラ・カポン」(2025年11月22日発行)
収録作品
・「きちがい料理」(ひばり書房)
「秋本葉子は資産家の娘。
邸には両親、妹のアコ、使用人の池の花、運転手のブリンナー、女中が二人が暮らしていた。
ある日の午後、鬼桜という老婆が秋本家にやって来る。
彼女は「日本一の料理の先生」で、一週間、その料理を堪能すべく、父親が招待したのであった。
ただ、この鬼桜という老婆は非常に変わっていて、料理するところを人に決して見せようとはしない。
皆、その腕前を疑っていたが、実際、口にすると、今までに経験したことのない素晴らしい味に夢中になる。
鬼桜は毎回、趣向を凝らした「特別料理」を披露し、その味はまさに夢幻の域。
その一方で、葉子の周囲では人が次々と姿を消していき…」
・「カラ・カポン」(ひばり書房/1965年10月11日完成)
「滝の川修子は12歳の少女。
ある夜、彼女の家の隣のバラックに若い兄妹が移り住む。
妹の理子によると、二人は以前はあるお邸に住んでいたが、複雑な事情があって出たと話す。
修子が兄に会わせてくれるよう理子に頼むと、理子は「(兄と)握手をしないでね」と修子に忠告してから、兄の治を呼び出す。
修子は前のお邸のお嬢様に似ているらしく、治は彼女を見つめ続け、いたたまれなくなった修子はその場を走り去る。
修子は治に興味を持つが、その夜、治が彼女の寝室に現れる。
彼は彼女と握手しただけで立ち去るが、修子は彼の無礼さや片足がビッコであることを知り彼に幻滅する。
翌日、彼女は突如、胸の激痛に襲われる。
医者も原因がわからずお手上げであったが、晩、彼女は急に行方をくらまし、いつの間にか元気になって戻ってくる。
次の日の夜も修子はひそかに家を脱け出す。
両親が慌てていると、奇妙な老人が滝の川家を訪れ、治という少年に近づかないよう警告する。
治の秘密とは…?」
今回の怪奇貸本奇談シリーズは池川伸治先生の「きちがい料理」と「カラ・カポン」の奇跡のカップリングです。
特に、「きちがい料理」はタイトル・内容共にトップ・クラスのヤバさで、「花の百合子 毒の奇理子」と同じく、「特別料理」がテーマ。
サスペンスフルなストーリー構成が見事なだけでなく、全体的に妙にテンションが高めで、ヘンチクリンなトリップ・シーンを大胆に挿入したり、オチに社会風刺を効かせたり、作者の才能が最も溌剌とした形で表現された作品のように思います。
「カラ・カポン」はちょっと私の趣味でないかな…。
ともあれ、「きちがい料理」は大傑作ですし、「カラ・カポン」も佳作と呼ぶにふさわしい出来ですので、読む価値は大いにあります。
ただ一つ、残念なことはこの単行本は大まん祭で転売ヤーに買い占められ、プレミア価格が付けられてしまいました。
まあ、「きちがい料理」と「カラ・カポン」の原本を揃えようと思ったら、軽く二十万円は超えるでしょうから、プレミア価格でも安いという考え方もあります。
でも、この場合は、まんだらけ様に是非とも再版を検討していただきたいものです。(著作権者ははっきりしているので、手続き等もそこまで煩雑ではないのでは?)
2026年1月14日 ページ作成・執筆