「怪奇貸本収蔵館第一号 南竜二・編」(2015年5月3日初版発行)
収録作品
・「悪魔の落子」
「母親が広島で被爆したために、三つ目になってしまった三太。
母親は彼を不憫に思い、心中を図ろうとするも、三太の頑強な反対にあい、自分だけ鉄道自殺をしてしまう。
三太も母親の後を追おうとするが、失敗。
そこに現れたのが「墓場の鬼太郎」(注1)であった。
目玉の親父に母親を生き返らせてもらうものの、今度は、三つ目の大入道に母親を拉致されてしまう…」
・「ゼロの恐怖」
「父親の仕事であう蛇とりが祟ったのか、雨太郎は学校にも行かず、池で蛙を捕まえては食べていた。
ある日、雨太郎は、赤ん坊の妹をあやしているうちに、妹が蛙に見え、食い殺してしまう。
父親は彼を井戸の中に吊り下げて、折檻すると、彼も死んでしまう。
悲嘆した両親は自殺し、一家四人の葬式があげられるが、雨太郎は蘇生。
彼は叔父夫婦のもとに預けられるが、窮屈な生活に耐えかね、叔父宅をとび出す。
両親の墓前で泣いていると、奇妙な老人が姿を現す。
老人は、彼と同じように蛙を食べるのであった。
雨太郎は老人の家に招かれるが、真っ暗な部屋に監禁される。
彼は、時間の感覚がないまま、一日に一回入れられる蛙を食べては寝て過ごす。
日が経つうちに、彼は、蛙が段々と大きくなってくることに気付くのだが…。
老人の思惑とは…?」
・妖奇七郎「貸本マンガの裏を支えた作家、南竜二」
・成瀬正祐「陳腐の帝王」
・辻中雄二郎「「ゼロの恐怖」はぼくの理想の漫画です」
南竜二先生は「水木しげる、竹内寛行、陽気幽平、福田年兼、黒須喜代治に続く 兎月書房、第六の男」(p1)だそうです。(注2)
南竜二・作品は、唐沢俊一氏による復刻された「地獄の使者」(「地獄で笑う男」収録)しか読んだことなく、ひどく殺伐した印象を抱いておりましたが、この復刻本を読んで、若干印象が変わりました。
投げやり極まるキャラといいストーリー展開といい、妙に気抜けしたところがあって、殺伐とした雰囲気を中和しているように感じます。
他の作品がどのような感じなのかは確認する術はありませんが、個人的には、このユルさがツボにはまってます。
・注1
この鬼太郎は、水木しげる版、それとも、竹内寛行版?
とりあえず、エラそ〜な目玉の親父に強烈な印象を受けました。
・注2
私の偏愛している橋本将次先生は何番目なのでしょうか?
2019年6月4日 ページ作成・執筆