「怪奇貸本収蔵館第十二号 堀万太郎・九賀隆志編」(2025年11月22日初版発行)

 収録作品

・堀万太郎「食肉植物」(「スリラー 第二集」(秀文社))
「アメリカからノルウェーのオスロに向かうジェット輸送機がエンジン・トラブルにより氷上に強行着陸し、炎上する。
 31名の乗員・乗客のうち、林田博士とスチュワーデスのパール・デシングの死体は発見されなかったが、二人はエスキモーの酋長、ユバに助けられていた。
 林田博士はユバから不思議な薬のことを聞かされ、興味を持つ。
 その薬は赤いコケが原料で、その葉と実を暗所で乾かし、葉をどろどろに煮詰めた後、実を混ぜて飲むと、人体が再生するのであった。
 ただし、薬の飲ませたら、三日の間、日光に当たってはいけない。
 パール・デシングは両足を失い、その薬を飲まされるが、彼女は外に出てしまい、日光を浴びる。
 エスキモーたちは顔色を変えて、彼女を殺そうとし、林田は彼女を連れ部落から立ち去る。
 途中、事故に遭いパールは死ぬも、林田は救助隊のヘリコプターに発見される。
 日本に帰国後、林田は「ユバの秘薬」を講演会で発表。
 昭和製薬会社の研究所所長はこれに目を付け、スパイの秋本・夏目を使って、これを盗ませる。
 だが、二人は逃走中に交通事故を起こし、秋本は腕の骨を折る。
 指名手配されているため、病院に行くことができず、夏目は秋本にコケを飲ませる。
 眠る秋本の体の中では夏の温度と光によりコケが生命力を爆発させ…」

・九賀隆志「墓場から来た」(1961年11月10日完成?/「墓場鬼太郎O」(兎月書房))
「伊藤竹春は乱暴な遊び人。
 彼は独り身、かつ、財産があり、よく飲み歩いていた。
 ある晩、彼が帰宅すると彼の父親を名乗る男がいる。
 下男の六助を呼ぶと、彼もその男を父親と呼ぶ。
 だが、父親は死んでいるはずで、夜中、竹春が墓を掘り起こすと、死体の首が切断されており、墓石の上にある。
 しかも、首は彼に目がけて飛んできて、彼はスコップで生首を真っ二つに叩き割る。
 翌朝、彼は父親から鳥撃ちに誘われるのだが…」

 まずは「貸本怪奇収蔵館」十周年、おめでとうございます!!
 これで復刻された作品を全てオリジナルで読もうと思ったら、今なら百万円は下らないと思いますので、こんなに安価かつ手軽に読めるようにしていただき、心より感謝いたします。
 んで、今回も渋い逸品揃いです。
 個人的には、堀万太郎「食肉植物」が大ヒット!!
 堀万太郎先生についてあまり詳しくはありませんが、以前、「怪談牡丹地獄」(あかしや書房)を読んで、その達者な描線に感心しました。
 「食肉植物」もコントラストの効いた切り絵のような絵で、当時としてはかなり洗練されていたのではないでしょうか?
 しかも、その内容は食肉コケに寄生された男の凶行を描いたゲテモノ・ホラーで、1950年代のアメリカのB級SFホラーを彷彿させる実に深い味わいです。
 こんな作品が60年以上前に存在していたなんて、日本の怪奇マンガ、まだまだ底が見えません…。(軽く絶望しております。)

 付録ペーパーには怪奇貸本収蔵館十周年を記念して「既刊案内」となってます。
 ラインナップを見れば見るほど、凄い作品ばかりで、ため息しか出ません…。

2025年11月29日 ページ作成・執筆

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