つゆき・サブロー「寄生人」(1997年10月28日第1刷発行)

 収録作品

・「水木しげる特別インタビュー 友人つゆき・サブローと兎月書房の思い出」(文章)

・「寄生人」(1961年頃/兎月書房)
「水原しげるは、三流週刊誌の青年記者。
 出勤途中、双子だったら、自分は遊んで暮らすのに…と、のび太みたいなことを考えていると、占い師を名乗る老婆から呼び止められる。
 彼が、老婆の差し出す水晶球を覗くと、自分の姿が二重に見え、老婆は、彼の望みが、違う形ではあるが、叶うと告げる。
 その日、何故か足が痛くなり、仕事から早めに戻ると、左膝に人間の顔が浮き出ていた。
 それは「寄生人」で、彼が水晶玉を覗き込んだ時、彼の鼻から体内に入り、血を吸って、成長する怪物であった。
 寄生人は彼の双子として生まれてくると話すが、水原しげるの運命は…?」

・「ミイラ島」(1962年頃/兎月書房)
「夏休み目前。  荒川区の小学校に、児童のアルバイトを募集する紙が貼りだされる。
 ロックフェラー図書館で図書整理の仕事であり、学校の男教師は、150名もの児童を引率することとなる。
 だが、アルバイトの応募に行った際の外人の態度や、児童達をバラバラに移動させる方法に、男教師は不審を抱く。
 男教師と児童達は横須賀から船で、瀬戸内海に浮かぶ小島へと到着。
 そこで、児童達に与えられた仕事は、本を次々と読んでいくことであった。
 二週間後、毎日五人ずつ子供達は帰っていくが、黒人のメイドによると、その翌日には木箱が五つ島に届けられるという。
 実は、木箱の中身は、ミイラ化した子供の頭部であった。
 その頭部を多数用いて、人体改造学の権威、瀬島幸太郎は、ミイラ図書館の建造を目論んでいたのである。
 男教師は、女児のルミと島からの脱出を図るのだが…」

・なみきたかし「マンガの怪人=アニメの偉人 杉本五郎物語」(文章)
・「ある少女愛好家の告白 杉本五郎(つゆき・サブロー)ロング・インタビュー」(「Hey!Buddy」(白夜書房)1985年9月号〜11月号に掲載されてものの再録)(文章)
・佐野史郎「水木とつゆきーその類似性考察」
・椹木野衣「ジャンク置き場から生まれた「怪物」」
・唐沢俊一「怪作と怪作者ー杉本五郎氏について」
・米沢嘉博「霧の中でジョニーが夢見たもの」

 水木しげる先生とも関わりが深い、稀代のフィルム・コレクター、かつ、ロリコンであった杉本五郎(1924〜1987)が「つゆき・サブロー」名義で、兎月書房に描いた怪奇マンガを二編収録したものです。
 水木しげる先生の絵をトレスしまくっているらしく、「QJマンガ選書月報 Vol.6」掲載の平林重雄氏「つゆき・サブローの元ネタ全解説」に詳しく書かれております。
 また、マンガよりも、作者の杉本五郎氏の方が遥かに濃かったらしく、杉本五郎氏についての文章やインタビューを読むだけでも、その凄さに圧倒されます。
 とりあえずは、怪奇もの以外にも貸本マンガの作品があるので、復刻を希望しております。
 それと、ポール・グリモーの「やぶにらみの暴君」が観てみたい!!(リメイクの「王様と青い鳥」はビデオで観ました。)

2019年8月27日 ページ作成・執筆

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