影森奇蝶「鬼姫おろち」(2022年8月14日発行)
「夏休みも終わりに近づいた頃、中学生(?)のグループが引率の教師二人と共に黒髪山を訪れる。
この地には大蛇がいるという噂があり、メンバーの一人、里見エリは昔、麓の村に住んでいた。
村の浄土寺の和尚は、大蛇にまつわる伝説を一行に話してくれる。
百五十年ほど前、この村の近くに牡丹屋敷と呼ばれる、藩主の別荘があった。
そこに恵美姫という美しい姫君が住んでおり、彼女は伊織という美少年を愛する。
伊織は、いつ頃か黒髪山の古寺に住み付いた、素性の知れぬ、笛吹きで、姫の笛の師であった。
姫が他国との縁談が決まり、おもり役の牧野一族は姫を諫めるも、家臣の言葉など耳には入らない。
ある日、牧野十三郎は伊織が蛇の精との噂を耳にする。
また、妹のかえでが伊織に姫からの手紙を届けに行った際、古寺で大蛇を目撃する。
これにより、牧野十三郎達は古寺の伊織を襲って、惨殺する。
恵美姫が急いで古寺に駆けつけた時、天井裏から大蛇が現れ、伊織の死体にまとわりつく。
これを目の当たりにした恵美姫は発狂し、黒髪山の土牢に監禁される身となるが、彼女の身辺には蛇姫の噂がついてまわり…という悲しくも、恐ろしい話であった。
秋月という少年は、大蛇にロマンを感じ、皆とは離れ、単独行動をする。
だが、途中、さなえと宮野先生の生首を発見。
彼は皆と合流しようと焦るが、夜は更けてしまい…。
この山に息づく大蛇伝説の真実とは…?
そして、謎の老婆の正体は…?」
ひばり書房黒枠単行本を代表する一冊であり、白川まり奈先生(影森奇蝶・名義)の代表作の一つでもある傑作の復刻です。
プレミア漫画としても高名で、復刻を待ち続けておりましたが、ようやく手に取ることができて、ただただありがたいことであります。
内容は、時代を考えると、とび抜けた出来です。
大蛇伝説をうまくストーリーに絡めているだけでなく、その真相を推理するミステリーとしてもバッチリ!!
また、残酷描写もなかなかカッ飛ばしていて、嬉しい限りです。
白川まり奈先生の復刻&再評価がどんどん進むことを心より祈っております。
2022年9月26・28日 ページ作成・執筆