「陽気幽平experience ケケカカ物語 とり小僧」(2008年1月1日発行)
収録作品
・菊田ダイ「はじめに ようこそ陽気幽平の世界へ」
・「ケケカカ物語 とり小僧 生の巻」(竹内寛行「墓場鬼太郎J」(兎月書房)掲載)
「東京から離れたある町に、山之内鶏肉店があった。
妻の咲子は出産が近く、子供が産まれるまで動物を殺すわけにはいかない。
だが、高利貸しの二斗巻重造への利子の支払いもあり、主人は悩む。
そんな時、東田村の役場から鶏肉二百人分の注文ができるかどうか問い合わせがある。
二斗巻は主人に仕事をさせようと占い師の白雲堂を結託し、主人が東田村の仕事を引き受けるよう仕向ける。
白雲堂にこの仕事を受けると運が開けると言われ、主人は妻の言う事も聞かず強行。
しかし、咲子が産んだ子供は、頭にはトサカ、口には嘴、足は蹴爪、そして、「ケケカカ」としか鳴かない「とり小僧」であった…」
・「ケケカカ物語 とり小僧 死の巻」(竹内寛行「墓場鬼太郎K」(兎月書房)掲載)
「復讐のため、鳥夫は二斗巻の屋敷に殴り込み、大暴れをする。
だが、銃で左腕を撃たれ、鳥夫は一旦退却する。
二斗巻達は一計を案じ、鳥餅を廊下に流す罠を張って、鳥夫を捕獲。
鳥夫は見世物にされそうになるのだが…」
・「地獄から戻った男」(竹内寛行「墓場鬼太郎L」(兎月書房)掲載)
「轢き逃げをした男。
彼は、自首しなかった自分を責め、きっと地獄に堕ちると思い込む。
フラフラとさまよっているうちに、喉が渇き、水たまりで水を飲もうとした時、突如、目の前に穴が現れる。
穴の中からは声が聞こえ、地獄に来たければ、穴の横にある鍵を穴に立てるよう言う。
言葉に従うと、穴から階段が現われる。
降りていくと、広大な地平が広がっていた。
そこに、薄汚れた格好をした死神のような男が彼を待っている。
彼は、遥か彼方に見える、キノコ雲の形をした「ピカ門」を指さし、あの中こそが「まことの地獄」だと話す。
男は、死神の案内で、ピカ門を目指すのだが…」
・マキノ正彦「『ケケカカ物語 とり小僧』を探し求めて!」
最近、陽気幽平の復刻が相次ぎ、再度、陽気幽平ブームが起ころうとしてます。(多分ですが…)
そこで、数年前に買ったけど(注1)、未読だった「陽気幽平experience」を今頃になってようやく読みました。
予想以上に面白く、相変わらず後手後手な自分にガッカリしております。
確かに、多くの漫画マニアを地獄の探索道に引きずり込んだのも納得で、あの「BLOOD FREAK」(1972年)より十年は早いのは凄い!!(のか…?)
個人的には、「とり小僧」よりも「地獄から戻った男」の方が興味深く読めました。
私の好きな「地獄巡り」がテーマで、ちょびっと興奮しました。
多少頭のネジの緩んだユーモア・センス、毒にも薬にもならない社会風刺、そして、能天気なハッピー・エンド。
陽気幽平先生って賢く、真面目で、「ロマンティック」な方だったのではないでしょうか?
ただ、その才能を発揮できる場がなかったように私は感じます。
・注1
菊田ダイ氏がネット・ショップをやっている時に購入いたしました。
当時はいろいろとお世話になりました。
この場を借りて、お礼を申し上げます。
2022年8月20日 ページ作成・執筆