「陽気幽平experienceU 首帰える・おぶさりダルマ」(2008年8月15日発行)
収録作品
・菊田ダイ「生きる勇気が沸いてくる!」
・「消えた森」(水木しげる「河童の三平A」(兎月書房)掲載)
「実業家、桜井信三の一人娘、多美子は美人だが、勝気でワガママな娘。
休日、多美子は父親とドライブに出かける予定であったが、父親は多忙のため、彼女の婚約者の山田を同行させる。
しかし、多美子は恋人の松原と一緒で、山田は蚊帳の外。
三人は山中で弁当を食べるが、多美子が川で平家ガニを見つける。
山田は海にいるはずのものが川にいることを訝り、引き返すよう提案するが、多美子は彼に反発。
多美子は山田の警告も聞かず、未開の森に入っていき、案の定、三人は迷う。
この森には山ヒルがいて、獲物を木の上に引きずり上げて、食べていた。
三人は平地でキャンプを張るが、些細なことから喧嘩となり、多美子と松原は山田とは別行動をとることにする。
多美子と松原が森を進むと、灯りを持った人物が近づいてくる。
それは森の住人で、二人はその家へと案内される。
だが、その家の住民は皆、奇形であった。
森の住人達の目的とは…?」
・「おぶさりダルマ」(竹内寛行「墓場鬼太郎M」(兎月書房)掲載)
「由造はしがない行商人。
彼はある晩、峠の茶屋で泊めてもらう。
茶屋の主人は、明日、早朝の汽車で息子が帰ってくるので、上機嫌。
由造に酒をご馳走してくれただけでなく、家宝というダルマを見せてくれる。
夜、由造は酔いもあり、不埒な考えを起こして、主人の寝室に忍び込む。
彼がダルマに手を伸ばすと、ダルマは転がり、そうこうしているうちに、主人が目を覚ます。
主人は由造を泥棒呼ばわりして騒ぎ、由造は主人を殺してしまう。
由造は慌てて茶屋から逃げ出すが、主人の怨霊のとり憑いたダルマはどこまでも彼についてまわる…」
・「首帰える」(橋本将治「火無し灯篭」(兎月書房)掲載)
「戦国時代。
五助と茂十は元・百姓の野武士。
武芸がなくても、手柄を立てるため、ある夜、二人は落ち武者を襲う。
落ち武者は武田の名将、玄馬と姫であった。
玄馬は姫を守ろうとするも、両腕を切り落とされ、首をはねられる。
だが、その首は五助の左肩に食らいつき、茂十が引っ張って、ようやく離れる。
その間に、姫は自決。
二人は玄馬の首を槍に突き刺し、上杉のもとに持って行こうとする。
途中、五助が肩の傷が痛むというので、川で水浴びをすると、肩の傷には玄馬の顔が浮き出ていた。
夜、二人はある家に一夜の宿を頼む。
その家には老婆が一人で住んでおり、二人は肉の入った鍋をご馳走になっただけでなく、五助は肩の傷に痛み止めの妙薬を塗ってもらう。
夜が更けた頃、五助はこの妙薬を盗み出そうとするが、鍋の具の肉が槍に付いていた玄馬の腕だったことを知る。
二人で老婆を捜すと、老婆の首が仏壇から現れ、襲い掛かってくる。
更には、玄馬の首までも襲ってきて、二人は逃げ出すのだが…」
・マキノ正彦「作品解題」
元兎月書房編集者インタビューは非常に興味深く、また、ためになります。
フリークス部落の「消えた森」は大傑作です!!
後半、激ヤバな描写てんこ盛りで、不謹慎極まりない内容だけど、ここまで悪趣味だと一線を突き抜けていて、清々しいものを感じます。(私だけ?)
「おぶさりダルマ」「首帰える」も味あり過ぎな傑作で、個人的には「ケケカカ物語 とり小僧」よりも面白かったです。
2022年8月21・22日 ページ作成・執筆