細野不二彦「ジャッジA」(1991年8月16日第1刷発行)
逢魔法一郎は冴えない会社員。
だが、その正体は、「闇の六法全書」をよく修め、霊能を操りし古の一族の末裔であった。
この世の法律で裁かれない悪がある時、「闇の司法官」たる彼は闇に潜む悪に裁きを下す…。
・「CODE.1<01>」
「世を騒がす連続バラバラ殺人事件。
犯人の「切り裂きジェイソン」は関東テレビの「ニュース・ラウンジ」にのみ犯行声明を投書し、視聴率はうなぎ登り。
「切り裂きジェイソン」を追う矢野刑事は、被害者の身元から、被害者と関わりのある木戸敦也が犯人だと目星を付ける。
ある夜、敦也と女友達と立川杏子の乗った車が港の倉庫へ向かう。
矢野刑事は彼らをつけて、倉庫に侵入しようとした際、杏子に襲われ、発砲するのだが…」
・「CODE.1<02>」
「矢野刑事の発砲事件はマスコミに大々的に報道される。
しかも、敦也は証拠不十分のために釈放され、無実の娘を発砲により傷つけたと騒がれる。
敦也は、復讐のため、彼と通じる「ニュース・ラウンジ」のディレクターから矢野刑事のマンションの場所を知る。
そして、敦也の魔手は矢野刑事の娘のさとみに伸びる。
逢魔法一郎の怒りが頂点に達した時…」
・「CODE.2」
「逢魔が一人残業をしていると、窓ガラスに老婆の姿が映る。
この老婆は柳原みつ子という土地持ちの大家で、一年前に惨殺されていた。
相続人である柳原一馬に嫌疑がかけられ、多額の借金等の事実があったものの、結局、証拠不十分で釈放される。
逢魔は、老婆が住んでいたアパートのあった空き地の前を訪れる。
そこには、この事件を担当していた刑事も立ち寄っていた。
ラーメンの屋台で二人は食事をした時、刑事は自分の無念を明かす。
ふと刑事が気が付くと、空き地に寝ていた。
目の前には、釘で地面に打ち込んだ、ちぎれた右手がある。
そして、彼の背後には「闇の司法官」の姿が…」
・「CODE.3」
「極左グループ「赤色師団」による同時多発ゲリラ事件。
この事件で時限発火装置を担当しているのは岸田徹という男であった。
彼の頭の傷痕は学生時代に機動隊からつけられたもので、彼は国家権力を異様に憎む。
ある夜、彼は、運輸省の局長宅前に爆弾を運ぶ。
それを小学生の男の子が怪しいと思い、後をつけるのだが…。
「正義の戦士」を気取る岸田に逢魔が下す判決とは…?」
・「CODE.4」
「逢魔は、踏切で地縛霊を視たことをきっかけに、杉元陽子という中学二年生と知り合う。
彼女には霊感があり、逢魔に学校の地縛霊を視てほしいと頼む。
休日、二人が学校を訪れると、旧校舎のあった場所で、逢魔は女子生徒の霊を視る。
そこに、生活指導の武石という教師が現れる。
武石は、陽子に目を付け、セクハラまがいの行為を繰り返していた。
逢魔は、武石に女子生徒の霊が絡みついているのを目にする。
旧校舎の地縛霊の正体とは…?」
・「CODE.5<01>」
「倉持運輸で働くダンプ運転手。
彼は社長の倉持昭の命令で、海辺に産業廃棄物を不法投棄していた。
ある早朝、居眠り運転をしていた彼は、新聞配達中の主婦を轢き逃げする。
彼は会社に戻り、社長に報告すると、社長は轢き逃げの隠蔽を指示する。
だが、この轢き逃げ現場に、接待ゴルフに向かう途中の逢魔が発見。
彼は事故現場で轢き逃げした運転手の顔をポラロイドカメラに念写していた…」
・「CODE.5<02>」
「隠蔽工作がうまくいき、ダンプ運転手には容疑がかからない。
しかし、彼は良心の呵責に苦しめられる。
ある夜、いつものように不法投棄に向かうダンプを逢魔は尾行する。
海辺で逢魔は「異質で原始的な意識の塊」を目にする。
一方、ダンプ運転者は何かにとり憑かれていると感じ、自首を決意するのだが…」
・「CODE.6<01>」
「逢魔は、別の「闇の司法官」から連絡を要請され、あるホテルに向かう。
そこで彼を待っていたのは、同じく「闇の司法官」である霊子であった。
彼女から、仲間の金剛が行方不明だと知らされる。
金剛は、半年前、手抜き工事によって道路が陥没し、幼稚園のマイクロバスが転落、園児35人が焼死した事件を追っていた。
金剛を行方を知るために、逢魔と霊子は…」
・「CODE.6<02>」
「金剛は、衆議院議員、大河内卓によって捕らえられていた。
そして、大河内に協力していたのが、「闇の弁護士」四文。
一方、逢魔と霊子は、金剛の行方を追ううちに、聖徳グループという会社に突き当たる。
この会社は、聖徳二という30代の男によって急成長した会社で、陥没事故を起こした会社の株で大儲けをしていた。
聖徳二と大河内卓の関係とは…?」
・「CODE.6<03>」
「四文を捕らえ、逢魔は金剛が監禁されている病院を訪れる。
この病院は聖徳グループつながりで、金剛は薬物で廃人にされつつあった。
逢魔は彼を連れて、病院からの脱出を図るも、彼の前に、聖徳二が立ちはだかる。
聖徳二の正体とは…?」
・「CODE.6<04>」
「逢魔達は金剛から事件の真相を知らされる。
その頃、聖徳二は、身を隠そうと、新東京国際空港から高跳びをもくろむ。
そして、大河内議員には四文から電話の連絡があり、一緒に隠れ家に向かう。
逢魔は彼らに裁きを下せるのか…?」
二巻もテンションを維持して、内容は高水準ですが、四話続きの「CODE.6」が一番の読み物です。
大胆なサイキック・バトルが展開されておりまして、なかなかの迫力。
四谷や霊子といった関係者も揃ってきたので、これからもっと面白くなると思いきや、この巻で終了です。
まだまだ発展させる余地のあった作品だけに残念…。
2022年1月7・8日/2月7日 ページ作成・執筆