はざまもり「模細工」(1988年4月16日第1刷発行)
収録作品
・「模細工」(「ミステリーJour」1986年11月16日号掲載)
「わがままな男と三年も付き合った後、別れを告げられた枝里子(23歳)。
傷心の彼女は、安らぎを求めて、伯母が持ってきた見合い話を受ける。
相手は、妻を事故で亡くした高広という男性(28歳)で、高級衣料メーカーの社長令息であった。
見合いの後、話はとんとん拍子に進み、三か月後に二人は結婚する。
ただ一つ、気掛かりなのは、高広の双子の弟の克美。
彼は皆の鼻つまみ者で、仕事にもつかず、高広から金をせびって、ふらふらしていた。
高広によると、克美は子供の頃、母親がいないとバカにした子供の首を絞めるというトラブルを起こしており、以来、要注意人物として扱われているという。
それ以外にも、枝里子は意外なことを次々と知る。
高広の前の妻が浮気をしていて、その相手が克美だったこと。
そして、前妻の死は睡眠薬中毒で、事故死として扱われているが、本当は、克美による殺人らしいこと。
克美は彼女に言い寄るようになり、枝里子は彼への恐怖心を深めていくのだが…」
・「BLUE」(「ミステリーJour」1987年10月16日号掲載)
「伊豆。
奈緒は、父親が経営する花屋で働く娘さん。
ある日の配達途中、ある青年と知り合いになる。
彼には無銭旅行の最中であった。
彼は花屋でバイトすることとなり、奈緒は彼に対して恋心を抱くようになる。
だが、彼は、両親代わりの兄が死んだということ以外、自分のことはほとんど語らない。
更に、彼は何者かに命を狙われているようであった。
ある夜のニュースで、彼の本名は藤枝俊で、ジャーナリストの兄を殺した指名手配犯と明かされる。
俊は奈緒に、兄を殺したのは、贈収賄の情報を握られた千石代議士だと話す。
彼の兄は、千石代議士の娘、厚子をたらしこんで、情報を得ていた。
そして、奈緒は一か月前、千石代議士の娘、厚子がテラスから海へ身を投げるところを目の当たりにしていた。
その自殺に、事件の謎を解く鍵があるようなのだが…」
・「雪白色」(「ami Jour」1987年3月号掲載)
「婚約者の一矢の三回忌。
一矢は、大学卒業前に、冬山に一人で登り、凍死したのであった。
墓参りの際に、碧(みどり)は、一矢の弟、浩司と再会する。
浩司は、兄の死の後、ずっと行方知らずであった。
碧が彼を問い詰めると、彼は三年前、冬山には兄と二人で登る予定だったと打ち明ける。
しかし、優秀な兄に対してコンプレックスを抱く彼はそれをすっぽかし、それが、兄の死につながったのであった。
浩司と出会ったことで、碧は、自分が彼のことを好きだったという気持ちに気付く。
そして、浩司も彼女のことが好きだったらしいのだが…」
「模細工」「BLUE」はサスペンス・ミステリー、「雪白色」は恋愛ドラマです。
2021年1月7日 ページ作成・執筆