河野那歩也
「夜者@」(2023年10月26日第1刷発行)
「夜者A」(2024年3月28日第1刷発行)
「夜者B」(2025年1月23日第1刷発行)
単行本@(「漫画アクション」2023年5/16号〜6/20号、7/18号〜8/15号)
・「第1話」
岩井篤志は民宿旅館の息子(17歳)。
彼の母は彼を出産した時に亡くなり、父親はその後に自殺。
彼は祖父母に育てられるが、幼い頃に両親の死の真相を知り、以来、ずっと自責の念を感じていた。
高校二年生の冬、彼はクラスメートの渡辺美咲に誘惑される。
彼は彼女のセックスフレンドとなり、高校三年の始業式の日、二人は人気のない教会でセックスをする。
その帰り道、二人が川沿いの道を歩いていると、対岸から奇妙な管が絡まってできた橋が伸びてくる。
その橋の向こうからやって来たのは異形の怪物、「夜者」で、美咲の首に噛みつき血を吸う。
篤志は止めようとするのだが…。
そして、夜者は篤志に自分の血を与える…。
・「第2話」
翌日、渡辺美咲の死体が発見される。
残念ながら、昨晩の「夜者」のことは全て事実で、人にはわからないが、彼の顔にはその刻印がはっきりと印されていた。
美咲の葬式のあった夜、彼は夢で「学園」に招かれる。
「学園」で夜者は次の犠牲者を彼に予告する…。
・「第3話」
予告された次の犠牲者は升野稔。
彼は篤志の二年上の先輩で、元・不良であった。
今、改心した彼は家族のためにガソリンスタンドで働き、篤志の幼なじみの鳥居あすかと付き合う。
篤志がどうすればよいのか考えていると…。
・「第4話」
升野稔と鳥居あすかは彼の家でデートをした後、升野は鳥居を軽トラックで家まで送る。
その途中、夜者の襲撃を受け、軽トラックは電柱に衝突。
篤志はそれを直感で確信し、二人のいる場所へ急ぐ…。
・「第5話」
夜者は升野を捕らえ、田んぼの向こうへと引きずっていく。
向こう側で夜者は升野の血を吸おうとしたその時、篤志が夜者へ飛びかかる。
篤志は升野を逃がそうとするのだが…。
・「第6話」
予告は絶対であった。
途方に暮れるあすかであったが、彼女の心にはある決意が生まれていた。
彼女は篤志に、夜者について知っていることを全部教えて、一緒にぶっ殺そうと誘う…。
単行本A(「漫画アクション」2023年10/17号〜11/21号、12/19号、2024年1/2号、2/6号〜3/19号)
・「第7話」
あすかは警察からの事情聴取の後、神社で篤志と待ち合わせをする。
ここは三か月前に篤志が美咲と最初のセックスをした場所であった。
篤志は彼女に夜者について知っていることを洗いざらい話すが…。
・「第8話」
夜者が殺害を予告すると知り、あすかは篤志への怒りを爆発させる。
彼女は彼が升野稔を憎んでいたのではないかと勘繰り、彼もそれは否定できない。
篤志はこれは「罰」ではないかと考えを述べるが、それをきっかけにある共通項が浮かび上がる…。
・「第9話」
被害者の二人に共通するのは死の直前にセックスしていたことであった。
セックスが「罪」だという考えは確かではないが、ありえないことではない。
あすかは篤志にもし、夜者から予告があれば、自分にも共有するよう言う。
その夜…。
・「第10話」
「学園」で次に予告されたのは村上三葉。
彼女は篤志のクラスの担任で、篤志の横の席の富澤征人と不倫関係にあった。
篤志とあすかは三葉を救うために行動を開始する…。
・「第11話」
篤志は三葉と征人を尾行し、調査を進める。
ある日、生徒指導の際、篤志は三葉に征人との関係を持ちだし、自分の話を聞いてくれるよう頼む。
一方、あすかも征人に声をかけていた…。
・「第12話」
篤志の考え通りに、三葉と征人は別れる方法へと進む。
それはお互いにとって非常につらいものであった。
篤志と三葉は深い罪悪感を抱くが…。
・「第13話」
夜、篤志は三葉が夜者にさらわれたことを知る。
彼はあすかを背負い、夜者がいる廃ホテルへと跳ぶ。
夜者は二人に三葉を救うチャンスを与えると言うのだが…。
・「第14話」
村上三葉はこのホテルのどこかにいる。
篤志が夜者を足止めし、その間、あすかが三葉を見つけ、ここから脱出できたら、篤志たちの勝ちであった。
篤志は自分の命を捨ててでも、夜者を阻止しようとする…。
・「第15話」
ホテルの屋上で夜者は篤志に「朗報」とやらを聞かされる。
それは篤志が「渇き」を学んだら、人間に戻れるということであった。
その頃、あすかは三葉と出会う。
それを知った夜者はルールを一方的に変更し…。
単行本B(「漫画アクション」2024年5/7号、5/21号、7/16号〜9/3号、10/1号、10/15号、11/19号、12/3号)
・「第16話」
夜者は篤志に選択を突きつける。
篤志が選んだのは…?
そして、夜者は三葉に「宴」を贈る…。
・「第17話」
夜、富澤征人は自室で落ち込んでいた。
急に外で何かが落ちてきたような音がする。
窓を開けて、外を見ると、庭に人影のようなもの倒れているのが見える。
髪飾りに見覚えがあり、彼が外に駆け出ると…。
・「第18話」
篤志の部屋であすかは彼に何故、自分を助けたのか聞く。
だが、篤志は「もうやめよう」と言い、夜者への無力感を吐露する。
次に夜者から予告があったとしても、「見殺し」にするのはそんなに悪いことなのか?
そして、人の命に順位を付けることは…。
・「第19話」
サッカー部の野田葵と岡村蓮は親友同士。
蓮と違い才能に恵まれなかった葵は高校総体が最後で、坊主になって気合を入れる。
そんな葵を励ますため、蓮も同じく坊主になる。
二人が友情を深める中、暗い影が二人に忍び寄っていた…。
・「第20話」
篤志は夜者から予告を受け、一人で何とかしようと考える。
だが、そんな篤志を嘲笑うかのように、夜者は彼に何の余裕も与えず…。
・「第21話」
渡辺美咲は「あっち」に行くことへの恐怖を抱えて生きてきた。
と言っても、「このまま」でいることは周囲が許さない。
それに反抗するため、彼女は篤志と「巡礼」を始める…。
・「第22話」
8月15日の晩。
篤志とあすかは町内の夏祭りに出かける。
人混みを離れ、川沿いを歩いていると、上流から灯篭が幾つも流れてくる。
それを目にして、篤志は夜者の「標的」の共通点に気付く…。
・「第23話」
「対岸」より橋が渡され、渡辺美咲、升野稔、村上三葉、岡村蓮がこの世に戻ってくる。
彼らは彼らに想いを寄せる人々の前に現れるが…。
人々が「渇き」を癒した時…。
・「第24話」
あすかの前には升野稔が現れる。
篤志が異変を察し、彼女を止めようとすると…。
そして、升野の口を借りて、夜者は「事実」について語る…。
・「最終話」
その夜、世界中で「対岸」から橋が渡され、死者がこの世を訪れる。
以来、夜者は現れず、四か月経った今もその夜に関して完全な「物語」が付けられることはなかった。
そして、篤志とあつかは…?
「吸血鬼もの」の異色作です。
どうも打ち切りになったようで、どうにかこうにかまとめあげたために、ラスト付近は急展開&非常に観念的で、正直、よく理解できませんでした。(そのため、粗筋を書く際、頭を抱えました。)
しかし、こういう謎めいた雰囲気が好きな方もいるでしょうから、気になられた方は読まれてみてもいいと思います。
ただ一つ、注意しなければならないのは、この作品、性描写が多いです。
個人的には、淫靡&背徳的なムードは捨てがたく思うのですが、田舎町で高校生がさかりまくっているので、現実味は乏しいかも。(現実はどうかは知りませんが…。)
ともあれ、いろいろと惜しい点はありますが、意欲作と評価していいのではないでしょうか。
2025年11月10〜13日 ページ作成・執筆