唐沢俊一・作/新巻ゆたか・画「復讐医バロン」(1996年6月12日初版発行)
復讐医バロン…彼は虐げられた者の味方。
彼が治療するのは「復讐によってしか癒されない心の傷」…。
・「第一話 恨みの女体変形 復讐の牙は後ろから襲う」(「コミックガイズ」1994年18号)
「女子大生の比企は地味で、自分に女の魅力はないと感じていた。
ある日、彼女はアメフト部の速田恭二にデートに誘われる。
こういったことは初めてで彼女はのぼせてしまい、デートの後、彼とベッドインする。
しかし、速田にはある目的があった。
彼は彼女にゼミの試験問題を入手するよう頼み、彼女が断ると、態度を豹変させる。
彼は彼女とのセックス・シーンのビデオを見せて脅迫。
彼女が返してと迫ると、容赦なく暴力を振るい、最後には彼女の膣にサボテンを押し込む。
傷心の彼女は歩道橋から線路へ飛び降り自殺を図るが、バロンに阻止される。
バロンは彼女の傷ついた膣を復讐の武器へと改造し…」
・「第二話 フェチ趣味地獄 巨大乳房が密室で迫る!」(「コミックガイズ」1994年24号)
「工藤奈保美は巨乳のOL。
ある日、彼女は原口専務に声をかけられる。
彼女のデザインを新製品に使いたいという話だったが、それは口実で、彼女の飲んだ酒には眠り薬が仕込まれていた。
彼女が目を覚ますと、見知らぬ部屋の中、全裸でベッドに拘束されていた。
ここは原口専務の秘密の部屋で、そばには赤ちゃんの恰好をした原口がおり、彼女の胸にむしゃぶりつく。
原口専務はおっぱいフェチであった。
片手の拘束が解け、彼女は原口を突き飛ばし、変態と罵る。
激怒した原口は彼女を二人組の男にレイプさせ、彼女は絶望のあまり、胸にガラス片を突き立てる。
そこに現れたバロンによって彼女を助けられ、その胸に「復讐の力」を与えられる…」
・「第三話 裏切られた結婚 闇の底から招く第三の腕」(「コミックガイズ」1995年4号)
「奈々美はエリートの伏見初彦と結婚し、幸せの絶頂であった。
しかし、結婚式の夜、彼女はどん底へと突き落とされる。
初彦はヤク中で、全財産を使っただけでなく、彼女をヤクの売人に売ったのであった。
トリップしている彼の前で、彼女は外人三人組にアナルを散々犯され、気が付くと、海岸に捨てられていた。
初彦は彼女の財産を横領して逃亡し、彼女は神経を傷つけられ、車椅子の身となる。
初彦たちの居場所を突き止めた彼女はバロンに復讐の意を告げ、手術を受ける。
バロンが彼女に与えた「復讐の腕」とは…?」
・「第四話 生人形の恐怖 フィギュアマニアの堕ちた奈落」(「コミックガイズ」1995年8号)
「香山はるかは普通の女子高生。
ある日、彼女は担任の城本に個人授業をしてもらうこととなる。
夜、彼女が城本のマンションを訪れると、彼は仮面ライダー(?)
のコスプレをしていた。
それだけでなく、彼の部屋は膨大な数のフィギュアのコレクションがあり、全部、自作だという。
更に、彼が彼女を部屋に呼んだのは等身大の『究極の美少女』を作るためで、彼女に全裸になってもらい、その型を特殊ゴムで取ろうとしていた。
当然、彼女は拒否するが、「人形オタク」呼ばわりされた城本は激情に駆られ、彼女の頭部をフィギュアで殴打する。
そして、城本は気絶した彼女の型を取った後、毛布でくるんだ彼女を海へと投棄する。
彼女はバロンに救われるも、脳に受けたショックのため、カルシウムの代謝異常を起こしており、身体が蝋細工のようにグニャグニャになっていた。
城本への復讐のため、バロンは彼女を「本当の人形」へと作り変える…」
・「第五話 SEX仕掛人 姉の怨念を込めた雷電の一撃!」(「コミックガイズ」1995年16号)
「バロンは内田春奈という女子高生に呼び出される。
春奈の目的は姉の仇を打つことであった。
姉のまりかはトップモデルであったが、ショーの最中、突然オナニーを始め、それを苦にして自殺をする。
そして、姉を自殺に追いやったのは、水商売時代に客だった咲本という医者らしい。
バロンはまりかの死体をチェックし、彼女が咲本の精神操縦装置の犠牲になったことを突き止める。
姉の復讐のためには春奈は処女を捨てなければならないが…」
・「第六話 魔女の絞首台 最低男をからめるメス蜘蛛の糸」(「コミックガイズ」1995年17号)
「彩香はある風俗店で人気ナンバーワンの潮吹き娘。
彼女は地方の出身で、父親の博打の借金のカタに取られた母親の店を取り戻すべく、貯金に励んでいた。
それに目を付けたのが客の斉木社長で、川田というAV男優と組んで、彼女をだまし、金を奪っただけでなく、山奥のコテージで彼女に凄まじいSM行為を行う。
小屋に放置され、そのままだと餓死するところだったが、黒田をはじめとする店の女性たちが彩香を必死になって探し、救出される。
黒田はボロボロの彩香をバロンのもとへと運び、彩香はバロンに復讐する意志を示す。
そして、バロンが復讐の道具として目を付けたのは彼女の「潮吹き」であった…」
・「第七話 深紅に染まる髪 現代に甦った妖女メドゥーサ」(「コミックガイズ」1995年20号)
「夏歩里は早くに両親を亡くし、ある神父に育てられる。
成長した彼女は教会のシスターとなるが、彼女は石田という青年と恋に落ち、肉体関係を持つ。
ある夜、石田が彼女に会いに来て、彼女を外へと連れ出す。
石田によると、あの教会はカトリックで認められておらず、神父にも悪い噂があるらしい。
だが、二人は神父と信者たちに捕まり、彼女は神父に性的暴行を受けた後、大量のタリウムを飲まされる。
牢に監禁された彼女の髪は抜け落ち、石田の死体も目の当たりにし、最後の力を振り絞って牢から脱出。
墓場で力尽きた時、その場にいあわせたバロンによって彼女は命を救われる。
バロンは彼女に復讐の武器として人工毛髪を与え…」
・「第八話 アンドロギュヌスの呪縛 超人類カップルの逆襲」(「コミックガイズ」1995年23号)
「女子プロレスラーの冠崎友佳と美少年で優男の真樹は凸凹カップル。
ある夜、二人は「心正しき日本男児」を名乗る愚連隊に襲われ、友佳はこん棒で犯され、真樹は去勢されてしまう。
その場にバロンが通りがかり、友佳はバロンに真樹を助けるよう懇願する。
彼の治療のため、友佳は彼とある臓器を共有することとなるが…」
晩節を汚しまくった唐沢俊一氏ですが、一昔前は本当に凄かった!!
「復讐医バロン」はそんな氏が漫画原作者として遺した、エログロ・ホラーの大傑作です。
テーマは「マッド・ドクターが、毎回いたいけな美少女を改造して、ドロドロのグチョグチョのゲロゲロにしちゃう」という潔すぎるもので、その言葉を全く裏切らない内容となっております。
どうも原作者も漫画家さんも心底楽しんでいたようで、全くトーンダウンすることなく、全編このボルテージを維持してるのはまさしく驚異。
更に、SEX描写よりも(まあ、それなりにハードですが)、奇想天外過ぎる復讐描写に力点が置かれている点も作品が新鮮さを保つ一因になっているように思います。
当時、この作品は好評で、新シリーズが企画されていましたが、掲載誌の消滅のため、立ち消えになったことは返す返すも残念でなりません。
まあ、歴史に「if…」はないものでして、まずはこの作品が復刻され、再評価されるよう心より願っております。
もしかすると、遺された設定から、自分が続編を執筆しようと立ち上がる奇特な人がいるかもしれませんしね。
2025年1月2日 ページ作成・執筆