まつざきあけみ「魔の顔」(1992年8月1日第1刷発行)
収録作品
・「魔の顔」(「LCミステリー」1991年8月号)
「宮坂美貴・真貴は双子の姉妹。
だが、美貴の美貌に対し、真貴は似ても似つかない不細工な容貌であった。
美貴は真貴をことあるごとに侮蔑・攻撃し、両親でさえもそれに加担する。
その中で、クラスメートの理恵だけは美貴の冷酷な心を見抜き、真貴の心優しさを評価する。
ある時、美貴にある雑誌から取材が入る。
その雑誌は「ミス・アイドル」を企画しており、美貴は最終審査にまで進んだのであった。
しかし、美貴は真貴の存在を知られることを渋り、両親は美貴を一人っ子として紹介することにする。
それにショックを受けた真貴は海に面する断崖から飛び降り自殺を図る。
同じ頃、美貴とボーイフレンドの乗った車が崖の近くで事故を起こす。
真貴が目覚めると、そこはもぐりの整形外科医の家であった。
彼はぐちゃぐちゃになった真貴の顔を手術し、その顔は美貴にそっくりとなる。
一方の美貴は真貴と間違われて死亡扱いにされ、真貴は美貴として生きることとなるが…」
・「魔の村」(「LCミステリー」1991年10月号)
「テレビのクルーたちを乗せたヘリコプター。
彼らは宇宙人目撃談の取材のためにある町に向かっていたが、その町を目前にして辺鄙な村に不時着してしまう。
ヘリコプターは故障もないのに動かず、無線も通じない。
村には年寄りしかおらず、電話も電気も通っていないだけでなく、生活は自給自足でまわっているため、隣町までの道までも整備されておらず、山越えして二時間であった。
とりあえず、彼らは村からの脱出を図るも、何故かうまくいかない。
仕方なく村で救助を待つことになるが、そこで彼らは懐かしい人々を目にしたり、夢で会ったりする。
そのうちに、彼らは田舎暮らしに好感を持ち始め、農作業を手伝い始めるのだが…」
・「デビル・チェンジ」(「LCミステリー」1991年11月号)
「小田美里は何をやってもどんくさい女の子。
彼女は夏休みに軽い交通事故にあい、それ以来、彼女は万能ぶりを発揮。
しかし、彼女が活躍している間の記憶が欠落していた。
ある日、彼女は数人の嫉妬した女子生徒たちに襲われる。
美里は謎のパワーによって彼女たちを返り討ちにするも、やはり記憶がない。
その夜、美里が訝っていると、彼女の心の中で声がする。
それは「もうひとりの自分」のもので、彼女は美里の身体の中でずっと一緒に生きてきた。
今やアイドル扱いの美里は、もう一人の自分に困った時には入れ替わってくれるよう頼むのだが…」
・「ともだち」(「LCミステリー」1992年1月号)
「真穂の一家は東京からある田舎に引っ越してくる。
彼女は早速、平田奈美という少女と友達になるが、奈美の一家は村八分を受けていた。
昔、彼女の祖父が「悪魔杉」を間違って切って以来、平田家は次々と不幸に見舞われ、呪われていると信じられていた。
だが、真穂はそんなものは迷信と一蹴し、奈美と付き合う。
それだけでなく、彼女は「悪魔杉」とはどういうものか奈美と共に確認しに行き、その枯れ木に巻き付いていた蔓を除去する。
真穂という友達ができたせいか、奈美は明るくなり、同時に、今までの状況が好転し始める。
奈美には友達ができ、自信を持っていくが、一方で真穂は次第にそれが気に入らなくなり…」
ベテランらしく、そつのない内容で、非常に読みやすいです。
「魔の村」はなかなかヘンな話だと思いますが、田舎在住の身からすると、農村ってそんなにいいものとは思えません…。
2024年2月26日 ページ作成・執筆