まつざきあけみ「魔の恋人」(1992年3月1日第1刷発行)

 収録作品

・「魔瘤」(「LCミステリー」1990年12月号別冊)
「章子は施設で育つ。
 彼女の美貌、歌声はどんな人でも惹きつけ、皆の中心であったが、ただ一つ、彼女の左前腕には醜い瘤があった。
 瘤は年齢と共に大きくなり、彼女は切除しようとするも、その度に激痛に襲われる。
 十六歳の夏、彼女はテレビ局主催の新人アイドルの公開オーディションに参加する。
 彼女は他の参加者より優れていたが、露出の少ない服を着ていたために、香山エリに優勝を奪われる。
 だが、倉沢淳という弱小プロダクションの社長の目に留まり、「フローレス」という名で売り出すと、瞬く間に大きな人気を得る。
 しかし、その成功の陰で、彼女の瘤はますます悪化し…」

・「魔少女」(「LCミステリー」1991年4月号別冊)
「桑田充は憧れの館川と両想いになり、幸せな日々を送っていた。
 しかし、彼女のクラスに佐倉真衣という少女が編入してきた時、彼女の生活は暗転する。
 充は小学一年から三年の間、佐倉真衣と一緒のクラスであったが、真衣は天使のような外見に反して、性格は悪魔であった。
 真衣は充に嫌がらせをしては、その責任を充にかぶせ、自分は良い子扱いされることに長けていた。
 真衣に散々煮え湯を飲まされた思い出があるため、クラスの皆が真衣に夢中になっても、充は決して気を許さない。
 また、真衣がクラスに編入してから、充は何者かからの嫌がらせを度々受けるようになる。
 ある夜、恋人のいないはずの真衣が男を一緒のところを充は目撃し…」

・「魔の家」(「LCミステリー」1991年7月号別冊)
「睦美は中学校のバレー部の主将であるが、交通事故で両足を複雑骨折して療養中の身。
 彼女の一家は洋風の一戸建てを中古で購入し、睦美は退院後、ようやくその家にやって来る。
 家にはバレー部の部員や恋人の唐沢が見舞いに来てくれるが、彼女たちから学校やバレーの話を聞く度に、睦美は孤立感を深めていく。
 その孤立感は焦りを生み、焦りは疑心暗鬼と結びつき、それと呼応するかのように、家ではポルターガイスト現象が起きるようになる。
 ある時、睦美は前にこの家に住んでいた少女の日記を偶然に発見するのだが…」

・「魔の恋人」(「LCミステリー」1991年9月号)
「麻衣と誠也は永遠の愛を誓ったカップル。
 しかし、誠也が交通事故で亡くなり、麻衣は悲嘆に暮れる。
 彼女に想いを寄せる克巳は彼女に寄り添い励ますが、彼女の心から誠也を追い出すことはなかなかできない。
 一方の彼女は自分の心の中で誠也の存在が薄れていくことに罪悪感を感じる。
 そして、彼女の周りに誠也の幽霊らしきものが…」

 ベテランらしく、どれもうまくまとまった短編です。
 出来としては、もの悲しい余韻の「魔の恋人」が頭一つ突き抜けているように思います。
 また、おまけページにはまつざきあけみ先生のデビュー(1970年)から1991年までの作品リストが掲載されていて、非常に参考になります。
 下積み生活、長かったんですね…。

2025年7月28日 ページ作成・執筆

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