まつざきあけみ「意地悪」(1993年12月1日第1刷発行)
収録作品
・「魔の蘇生」(「LCミステリー」1992年9月号)
「田舎町にある山口民衆病院。
そこに勤める宇賀神医師の右手には不思議な力があった。
と言っても、患者の自然治癒能力を手助けする程度で、人の命を救うほどの力はない。
また、彼は善良な人が短命なことや、悪人でも命を救わねばならないという不条理に悩む。
ある日、恋人の看護婦、ひとみが若いチンピラの運転する暴走車にはねられて亡くなってしまう。
彼は教会で神に呪詛をぶつけると、落雷と共に光が彼の右手の十字架を貫く。
以来、彼の右手には死者を蘇らせる力が宿る。
彼はひとみをはじめ、次々と死者を蘇らせるのだが…」
・「意地悪」(「LCミステリー」1992年12月号)
「水沢早紀は中学三年の女の子。
彼女は名門中の名門、城南女子付属校に入るべく、ガリ勉に励んでいた。
ある日、彼女は瀬川みどりという少女に殺される夢を見る。
瀬川みどりは彼女がある小学生に転校した時のクラスメートで、早紀に一番を取られたことを恨み、陰湿かつ執拗な嫌がらせをしてきた。
特に、印象深いのは運動会のバトンリレーの際、バトンと共にガラスの破片を渡し、早紀の手首を傷つけたことであった。
みどりは遠くに引っ越したはずだが、ある時、早紀はみどりに似た少女をバスで見かける。
以来、彼女は何者かから嫌がらせを受けるようになり…」
・「愛されるって怖い ―魔の愛―」(「LCミステリー」1992年6月号)
「南中三年の芳賀由香は絶世の美少女。
彼女には成績優秀・スポーツ万能&生徒会長の広瀬俊という恋人がいた。
彼は理想の恋人であったが、忙しいのが玉に瑕で、彼女は彼と一緒の時間が少ないことに不満を募らせる。
ある日、彼女が一人で下校していると、不良連中に絡まれる。
そこを助けてくれたのが、山田という男子生徒であった。
山田は勉強・スポーツ共にダメで、おまけにデブでブ男といういいとこなしで、広瀬にはパシリで使われていた。
由香はいつも彼女を放っておく広瀬に当てつけで、山田の方が広瀬よりも彼女にふさわしいと褒める。
それを真に受けた山田は彼女の「騎士」を気どり、彼女に付きまとい始める。
どんな説得も、山田を納得させることはできず、山田の勘違いはエスカレートするばかりで…」
・「Devil Writer ―魔の作家―」(「LCミステリー」1992年7月号)
「野川みさきは漫画家志望で、一年前に上京し、バイトをしながら出版社に原稿の持ち込みをしていた。
彼女は絵の才能も話を作る才能もあったが、彼女の描く漫画は今風でないと編集者に判断され、なかなかデビューできない。
そんなある日、彼女は月刊ドリームの編集者から連絡を受ける。
その内容は漫画界の女王、英亜衣(はなぶさ・あい)のシャドウ・ライターをしてほしいというものであった。
英亜衣は華やかなラブロマンスで大人気で、更に、その類まれな美貌で雑誌のグラビアやテレビ出演等、アイドルさながらの生活を送っていた。
みさきの描く漫画は英亜衣のものとはかけ離れていたものの、多額の報酬に目が眩み、みさきは読み切りの代作を引き受ける。
これがなかなか好評で、次は「ローマの恋」という連載の代作を、月刊ドリームでのプロデビューと引き換えに、引き受けることとなる。
みさきは英亜衣の漫画を研究し、それに打ち込むが、同時に、彼女の生活は派手さを増すようになり…」
バラエティ豊かな短編集で、表題作の「意地悪」の出来が一番良いでしょう。
でも、ゾンビを扱った「魔の蘇生」や谷間夢路っぽいラストの「愛されるって怖い ―魔の愛―」も非常に独特な味わいです。
そして、シャドウ・ライターを扱った「Devil Writer ―魔の作家―」!!
「人気漫画家の作品は実はアシスタントが描いていた」という内容のマンガは幾つかありますが、この手の話は漫画業界ではざらにあるのでしょうか?
詳しいことを御存知の方がおられましたら、ご教示いただけますと幸甚の至りです。
2025年7月29日 ページ作成・執筆