さくら・まいこ「母の叫び!呪いの血文字」(1987年7月16日発行/青149)

「日本舞踊の桜花流家元、花村史郎と相思相愛の仲であった、しのぶ。
 しかし、資金援助のため、史郎は一条財閥の娘、千加子と結婚することとなり、しのぶは史郎の子を身籠っていながら、静かに身を引く。
 別の場所に居を定め、しのぶは女児を出産、その子を舞子と名付け、女手一つで生活していく。
 二年後、しのぶは史郎と偶然に再会。
 史郎は舞子をいつか立派な舞踊家にすることをしのぶに約束する。
 だが、この再会の件が千加子の耳に入り、しのぶにあらゆる面で敵わなかった千加子は嫉妬と憎悪を燃やす。
 復讐のため、千加子は、財閥の娘としての力をちらつかせて、舞子は自分の子として引き取り、しのぶは別荘の小屋に軟禁して、使用人としてこき使う。
 舞子を事あるごとに千加子にいびられるが、実の父親の史郎は舞子に温かく接し、舞踊を教える。
 ある時、久々に舞子と会ったしのぶは、舞子が千加子にいじめられることに耐えかね、舞子を連れて逃げることを決意。
 しかし、発見され、小屋に連れ戻された際に頭を強く打ってしまう。
 薄れゆく意識の中、しのぶは自分の血で小屋の壁に舞子へのメッセージを遺し、息絶える。
 その血文字はいくら上から塗り潰しても、浮き出てきて、遂には小屋は閉鎖される。
 しのぶの死から十数年、美しく成長した舞子は、自分の本当の母親のことを知る時が来る。
 母親の面影を求めて、舞子は別荘へ向かい、そこで母の遺した血文字を見る。
 舞子は、母の遺言通り、母を超える舞踊家を目指すのだが…」

 日本舞踊を題材にした怪奇マンガは、さがみゆき先生と森由岐子先生の印象が強いです。
 ただ、一般の少女マンガでは、他に思いつく作品がこれと言ってありません。
 踊りをテーマに据えた少女漫画は、バレェ漫画(「ガラスの仮面」等))ばかりのような気がします。(注1)
 日本舞踊というテーマは、日本が西洋化されるにつれ、漫画の題材としては、読者の興味の範囲に入らなくなったためでしょう。(やっぱ地味だわな。)
 まあ、そういうマイナー・ジャンルの作品ですので、さくら・まいこ先生のマンガでも(失礼!!)なかなか新鮮でした。
 内容的には、恐らく、さがみゆき先生か森由岐子先生の影響をダイレクトに受けておりますので、ぶっちゃけ、古臭く、湿っぽいです。
 ただ、陰湿なストーリーがさくら・まいこ先生の温かみのある絵柄(もしくは、説得力を持たせない絵柄)で中和されたおかげで、ベタベタのお涙頂戴ものになっており、それはそれでありでしょう。
 ラストの拍子抜けするほどのハッピー・エンドも、個人的にはいいと思います。
 ただ、小遣いはたいて、このマンガを買ったガキンチョがどれだけ満足したのか、疑問は残りますが…。

・注1
 「ガラスの仮面」も「swan」も「アラベスク」もち〜っとも読んでおりませんが、最近、書店で入手した「超展開バレエマンガ 谷ゆき子の世界」(立東社/2016年10月25日発行)はなかなか面白かったです。
 ただし、「いいとこどり」な編集で、丸ごと復刻してくれなかったことが大きな不満。
 それでも、資料的にはかなり充実していますので、次に期待してます。

2016年12月4日 ページ作成・執筆

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